成熟した大人たちに注目される商品やサービスを顕彰する「サライ大賞」。第22回となる2023年の大賞と、3つの部門の選考結果をお知らせします。


選考委員

精神科医 和田秀樹さん(63 歳)

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。和田秀樹こころと体のクリニック院長。精神科医として30年以上、高齢者医療に携わる。

作家 島田雅彦さん(62 歳)

1961年、東京生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。法政大学国際文化学部教授。近著に『時々、慈父になる。』など。

画家、タレント 城戸真亜子さん(62 歳)

1961年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。学研・城戸真亜子アートスクール主宰。著書に『記憶をつなぐラブレター』など。

本誌編集長 三浦一夫

「サライ.jp」編集長 稲葉成昭


2002年に創設し、22回目となる「サライ大賞」。読者から寄せられた“2023年を象徴する商品やサービス”への投票結果に加え、前回に引き続き、3名の有識者を選考委員に迎えた。高齢者医療に取り組む医師の和田秀樹さん、作家の島田雅彦さん、画家でタレントの城戸真亜子さんだ。3名と本誌編集長らを交えた選考会の結果、「ライフスタイル部門」「ヘルスケア部門」「カルチャー部門」の3部門でそれぞれ贈賞。部門賞の中から「サライ大賞」を決定したほか、「特別賞」も贈賞した。

サライ大賞/ライフスタイル部門賞

『タカラ「辛口ゼロボール」』
宝酒造

「応援団長」として松岡修造さんが就任。松岡さんががっつり食事をしながら、美味しそうに飲む姿も話題になっている。
アルコール度数0.00%に加え、糖質、カロリー、プリン体、甘味料の「ゼロ」も実現。健康に気をかける人が手に取りやすいよう配慮した。350ml入り141円(参考小売価格)。

キレのある辛口を実現

ライフスタイル部門賞かつサライ大賞に選ばれたのは、宝酒造の『タカラ「辛口ゼロボール」』。同社の『焼酎ハイボール』の美味しさを濃縮した「タカラ『焼酎ハイボール』エキス」をノンアルコール飲料にも使用することで、キレのある辛口の味わいを実現した。この味わいを作り出すために、100パターン以上もの試作を繰り返したという。

オンラインで行なわれた選考会中、「じつは、いま飲みながら参加しています」と語り始めた和田さん。
「飲み慣れた“酎ハイ”の味がして、なかなか美味しい。よく作り込まれていると思います」と高く評価した。

「焼酎から旨味のみを抽出するというのは大変。その努力も評価したい」(島田さん)

「宝酒造という、酒造りに本気で取り組む会社がノンアルコールを出したのが驚きでした。パッケージも昭和レトロっぽくていいなと思います」(城戸さん)


ヘルスケア部門賞

『レムウェル』
小野薬品ヘルスケア

マルハニチロ社と共同研究を行ない、「イクラオイル」を原料としたDHA(ドコサヘキサエン酸)をはじめ、機能性脂質を独自に配合した。30日分7020円。

ヘルスケア部門での贈賞が決定したのは「睡眠サプリ」の『レムウェル』だ。2022年のサライ大賞ヘルスケア部門では『ヤクルト1000』に贈賞したが、同商品のヒット以降、良質な睡眠や目覚めへの効果が期待される食品などにますます注目が集まっている。

厚生労働省が令和元年に行なった調査では「睡眠全体の質に満足できなかった」が21.8%、「日中、眠気を感じた」は34.8%と、睡眠に悩みを抱く人が多いことも明らかになっている。睡眠の質を改善することは、現代人にとって大きな課題のひとつだ。

そんな中、睡眠や目覚めをサポートする「睡眠サプリ」が続々と登場している。中でも、小野薬品ヘルスケアの『レムウェル』は、日本初の「深睡眠」とレム睡眠(体を休める眠り)への働きが期待される。「深睡眠」とはノンレム睡眠(深い眠り)の中でも、とくに深い睡眠のこと。

機能性脂質を独自に配合するなどした同商品は、確実性の高い臨床実験を実施し、その効果を確認している。

「医者の立場から申しますと、有効成分のうち、摂取者にどの成分が効いているのかまでは、なかなかわかりません。たぶん睡眠サプリは効く人、効かない人がいるでしょうが、効く人にとっては幸運なことです。サプリが効くという人がたくさんいるのであれば、それは世の中に大いに役立っているといえます」(和田さん)


カルチャー部門賞

「地球の宝を守れ - 国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」
国立科学博物館

地球の宝を守るという目標に向けて、国内の科学系博物館などとも協働しながら、さらなるコレクションの充実を図る予定だという。(C)国立科学博物館

カルチャー部門賞には、国立科学博物館が実施したクラウドファンディング「地球の宝を守れ―国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」が選ばれた。当初の目標額は1億円だったが、最終的にはのべ5万人以上から9億円を超える支援が集まった。

同館は、コロナ禍の影響で収入が激減し、光熱費や原材料費の高騰などで、資料や標本の収集と保管が困難な状況に陥った。今後も収集し、コレクションを適切に保管し続けるためには、金銭的な支援が欠かせなかったという。

支援額に応じて贈られる個性的な“返礼品”も話題に。オリジナルの図鑑やトートバッグ、アクリル標本、バックヤードツアー(裏側の案内)などが人気を集めた。

「文化の継承のためなら寄付を惜しまない、という人が多いことを知らしめたところがいい。今後もこういう支援活動が広がっていくのが望ましい」(島田さん)


特別賞

「そうだ 京都、行こう。」30周年
JR東海

30周年を記念した特製の「そうだ 京都、行こう。」カレンダー。過去に使用した148枚のポスターから、12枚を厳選した。

3つの部門賞とは別に、特別賞として、平安京遷都1200年の前年、1993年にスタートしたJR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」30周年を選定。秋に流れる同キャンペーンで恒例のテレビCMの余韻に浸る人は少なくない。10月にJR東京駅で開催された「30周年展」には、多くのファンが詰めかけた。

30周年を記念し、過去のポスターの写真から厳選した「そうだ 京都、行こう。」カレンダー付きの旅行商品なども発売されている。また、これまでのキャンペーンに登場した12の寺院とコラボした「限定オリジナル御守り」付きの拝観券が、2024年1月より順次発売される予定となっている。

「このキャンペーンのCMに流れている音楽を聴くと、京都に行きたくなります」(城戸さん)

「ポスターに書かれているキャッチコピーが秀逸で、30 年前からいつも感心させられています」(三浦編集長)

 

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