【にゃんこサライ 第9回】
愛猫の「すりすり」と「マーキング」、あなたへの「お友達認定」はどっち?

空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては意外と知られていないことが多いようです。人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。

そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の行動の真相を解明していきたいと思います。

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猫が相手の人間に心を許しているとか、好きな人間に対してする挨拶の一環「すりすり行動」。

キッチンで立っていたり、デスクでパソコンに向かっていたりすると、猫が足もとにすりすりと体をすりつけてくることがあります。自分の足もとをすりすりしたかと思うと、そのままふわふわっとした調子で歩いていって、ドアや机の脚ですりすり。なんだか楽しそうです。

前回、鼻ツンは猫の挨拶行動だということをお話しましたが(記事を読む)、猫のすりすり行動も、挨拶の一環です。仲良しの猫同士の挨拶は、遠くから「やあ!」という感じで尻尾をぴんと立てて近寄ってきて、体を互いにすり寄せ合いながらすれ違い、互いの尻尾を絡ませ合ったりします。これは、「Friendly Hello」という意味合いがあると、私は猫の研究をしていたアメリカ人ボスに教わりました。尻尾の短い猫の場合はしっぽを絡ませ合うことはできないわけですが、きっと気持ちの上では絡ませ合っているつもりでいるのでしょう。人間に対しても同様で、猫が相手の人間に心を許しているとか、好きな人間に対してする挨拶の一環として、すりすりしてきます。

こうした体を寄せ付ける行動は、挨拶にプラスされる匂いの交換なのか、まだわかっていない行動ですが、何らかのコミュニケーションツールといったところです。すりすり行動は「匂い」を擦り付けているみたいなので、一般に「マーキング」といわれる「ここは俺様の場所で俺様のものだ」という意味があると考えられていた時代もあります。しかし、今はそうではなく、仲良く「こんにちは!」「元気?」「おかえり!」というような意味のあるコミュニケーションの方法であろうと考えられています。

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