日本銀行による金融政策決定会合の報道を見聞きし、「長らくゼロに近い水準だった定期預金の金利が、ついに上がるのでは?」と期待している方も多いでしょう。

しかし同時に、「いつ、どれくらい上がる?」「預け替えした方がいいの?」と思う人もいるのではないでしょうか? 今回は、定期預金金利が動く仕組みから、今後にかけての見通し、各金融機関の選び分けや、損をしない「預け替え」の判断基準までを詳しくみていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)を提唱する、独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。

定期預金金利は何で決まる?

「預金金利」について、まずはその仕組みと商品の基本をおさらいしておきましょう。

政策金利・国債金利・銀行の資金事情がどう影響するか

定期預金の金利に最も大きな影響を与えるのは、日本銀行(日銀)が設定する「政策金利」(短期金利)と、債券市場で取引される「国債金利」(長期金利)です。

政策金利(短期金利):銀行同士が短期間でお金を貸し借りする際の基準となる金利です。日銀が利上げを行なうと、銀行の資金調達コストが上昇し、住宅ローンや各種借入の金利が引き上げられやすくなります。また、それに伴い普通預金や定期預金の金利も引き上げられる傾向があります。

国債金利(長期金利):主に「10年物国債利回り」などが代表例で、数年〜10年といった長期の定期預金金利の目安になります。市場が「今後も利上げが続く」と見込むと、国債金利が先行して上昇し、それに合わせて長期の定期預金金利も上がりやすくなります。

銀行の資金事情:「もっと預金を集めて企業への融資や投資に回したい」と考える銀行や、利上げを機に新規顧客を呼び込みたいネット銀行などは、他行よりも高い金利を設定して攻めの姿勢を見せることがあります。

「普通預金・定期預金・スーパー定期」の違いと、金利の見方

私たちが銀行にお金を預ける際、主に以下の<図表1>の3つの選択肢があります。

<図表1>主な銀行預金の特徴と金利の傾向

(株式会社SMILELIFE projectにて作成)

金利を見る際は、それが「固定金利」か「変動金利」か確認しましょう。定期預金の多くは預け入れ時の金利が満期まで続く「固定金利」です。

金利表示の注意点(年利、税引後、満期前解約の扱い)

銀行のパンフレットやウェブサイトに書かれている金利を見る時は、以下の3点に注意が必要です。

・すべて「年利(年率)」で表示されている:例えば「3か月定期・金利1.0%」とあっても、3か月で1%の利息がもらえるわけではありません。

・税金が差し引かれる:表示されている金利は基本的に「税引き前」です。実際には、受け取る利息から20.315%(国税15.315%+地方税5%)が源泉徴収されます。

・満期前解約(中途解約)はペナルティがある:定期預金をどうしても途中で解約する場合、一般的には適用金利が「中途解約利率」という低いものに下がってしまいます。

2026〜2028年の見通し

ここからは、これからの数年間で定期預金の金利がどのように推移していくのか、時系列で予測される動きを見ていきましょう。

※あくまでも予測であり、必ずそうなることを保証するものではありませんのでご留意ください。

2026年:利上げ観測がある時、定期預金に起こりやすい変化

2026年は、日銀の断続的な利上げによって「本格的な金利のある世界」へのシフトが明確になる年です。

政策金利が段階的に引き上げられる動きに連動し、まずは普通預金や、3か月〜1年といった「短期の定期預金」の店頭表示金利が底上げされやすくなります。

2027年:金利環境が変わると「預け先の差」が広がる理由

利上げ開始から一定の時間が経つ2027年は、「どこの銀行に預けるか」による金利差が非常に大きくなる時期です。体力のあるメガバンク、効率経営のネット銀行、地方の活性化を図る地方銀行など、それぞれの経営戦略によって金利の提示の仕方に明確な差が出始めると考えられます。

2028年:中長期での注意点(景気後退局面・金利低下局面の可能性など)

利上げが数年続いた後の2028年頃には、中長期的な視点での警戒が必要です。金利が上がりすぎると、今度は企業の資金借り入れや個人の住宅ローン負担が重くなり、景気後退リスクが出てきます。もし景気が悪化すれば、日銀は再び利下げを検討せざるを得ず、連動して定期預金金利も低下局面に転じることになります。

「定期預金金利 引き上げ」はいつから? よくある誤解を整理

「利上げと言っていたのに、口座の金利は全然上がっていない」と感じる人もいるのではないでしょうか。よくある疑問と回答をまとめたので、参考にしてください。

「利上げ=すぐ定期2%」ではない

日銀が政策金利を0.25%引き上げたからといって、定期預金の金利がすぐに上がるわけではありません。利上げは、経済へのショックを和らげるために「小幅かつ段階的」に行なわれます。

「金利2%」の検索が多くなる理由

ネットで「定期預金 金利 2% いつ」といった検索が多くなされているのは、かつてのバブル期のような高金利への憧れや、投資(NISAなど)の期待リターンと比較した「リスクなしで2%運用できたらいいのに」という願望の表れです。

現在の経済状況から考えると、通常の定期預金で誰もが手軽に「2%」を得られる日はまだ遠いと言えます。ただし、「新規口座開設限定」「退職金専用プラン」「特定の投資信託とセットでの預け入れ」といった特殊なキャンペーンで2%〜3%近い高金利を提示する銀行が一部で出始めています。

最新情報を追うチェック先

以下の3つを定期的にチェックする習慣をつけましょう。

・各銀行の「金利一覧表」ページ:定期的にチェックしましょう。
・プレスリリース:「預金金利の改定について」必ず公式発表されます。
・SNS等:ネット銀行の今月のキャンペーン金利をランキング形式でまとめてくれている個人ブログやマネーサイトは、効率的な比較に役立ちます。

どこに預ける? ゆうちょ・メガバンク・ネット銀行の選び分け

預け先を検討する際、銀行の「タイプ」によって金利の動きや強みが異なります。それぞれの特徴を掴んでおきましょう。

ゆうちょ(郵貯)の定期金利はどう動きやすい?

全国に店舗網を持つ特性で、利上げ局面において「市場の基準」を作る動きをします。2026年にも通常貯金の金利引き上げなどが実施されており、追随して定期貯金の金利も改定が進んでいます。

メガバンク

日銀の政策金利の動きに対して最もオーソドックスに対応します。利上げが決定されると、比較的早い段階で普通預金・定期預金の金利引き上げを発表します。

ネット銀行・キャンペーン金利

少しでも高い金利を狙うなら、店舗を持たないネット銀行が一歩リードします。ネット銀行は人件費や店舗運営コストがかからない分、それを預金金利へ還元しやすいのが強みです。

「預け替え」する? しない? 判断の目安

それでは、読者の皆さんが最も知りたい結論である「今あるお金を、別の高い銀行へ預け替えるべきか否か」の具体的な判断基準を解説します。

預け替えが向くケース

以下のような状況であれば、積極的に預け替えを検討する価値があります。

・今の定期預金の満期がすぐそこに迫っている:満期を迎えたお金は自動的にその時点の金利になってしまうため、より条件のいい他行へ移すのがベストです。

・預ける金額が大きい(まとまった資金):500万円、1,000万円といった大口資金であれば、年間で数万円の利益になります。

・今の銀行と乗り換え先の金利差がある:当然ですが、明確な金利差があるなら手続きの手間を考慮しても動かすメリットがあります。

預け替えを急がなくてもいいケース

逆に、以下のような場合は無理に動かさず、様子を見たほうが賢明です。

・今の定期預金を満期前に解約するとペナルティとして金利を下げられる場合:あと少しで満期を迎えるような長期定期を、焦って今解約すると損をしてしまいます。

・数か月以内に使う予定があるお金の場合:乗り換え手続きをしている間に使う時期が来てしまうような短期の生活資金などは、普通預金のままにしておくべきです。

・金利差がわずかで、振込手数料や交通費で相殺される場合:わずかな利息アップのために、他行への振込手数料(数百円)を払ってしまっては本末転倒です。

預け替えの手順

実際に預け替えを行なう際は、以下のステップと注意点を意識してください。

1.満期日(または解約可能日)の確認:現在預けている銀行で確認します。
2.新口座の開設:乗り換え先の銀行の口座をあらかじめ作っておきます。
3.資金の移動:満期を迎えたお金を、新口座へ振り込みます。
4.新しい銀行で定期預金を設定:高金利の定期預金やキャンペーンを活用。

まとめ

日本の金融環境は、長年続いた「ゼロ金利」から、明確に「金利がつく時代」へと変化しています。定期預金の金利は今後、日銀の利上げペースに合わせて緩やかに上昇していく見通しです。

特にネット銀行のキャンペーンなどを賢く活用すれば、これまででは考えられなかったような利息を受け取ることも可能になってきます。ただし、「預け替え」を検討する際は、単なる銀行間の金利比較だけでなく、「インフレ率に対してプラスか(実質金利)」という視点と、「さらなる利上げに備えて短期で回す」という戦略を組み合わせるのが、最適解と言えます。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?

様々な情報が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。ご自身のライフプランを考える時には、生命保険や金融商品の販売をせずに中立的な立場からコンサルティングに徹する独立系のファイナンシャルプランナーへのご相談をお勧めします。

●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

 

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