今年還暦を迎える1959年生まれの男女は、152万人にのぼります。PGF生命は、今年還暦を迎える1959年生まれの男女を「還暦人(かんれきびと)」と名付けて調査を行い、2000件の回答を得ました。
還暦人のライフスタイルやマネー、今後の人生の展望などを調査した結果から、多様な人生観や生活実態が垣間見えてきました。
■還暦人の貯蓄額平均2,956万円、一方4人に1人が「100万円未満」
全回答者(2,000名)に、現段階の貯蓄金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)を聞いたところ、「100万円未満」が24.7%で4人に1人の割合となりました。そのほか、「100~300万円未満」(11.3%)、「500~1,000万円未満」(11.1%)、「1,000~1,500万円未満」(10.4%)と続いています。
一方、「3,000~5,000万円未満」(8.7%)や「1億円以上」(8.1%)という回答が1割近くあり、平均額は2,956万円となりました。
昨年の調査結果と比較すると、「100万円未満」は2018年20.6%→2019年24.7%と、4.1ポイント上昇しました。一方で、平均額は2018年2,725万円→2019年2,956万円と、231万円上昇し、今年の還暦人の貯蓄の格差は開いている結果となっています。
平均額をエリア別にみると、一都三県では3,363万円と、全体平均より407万円高くなっています。また、世帯構成別にみると、おひとりさま世帯2,663万円、夫婦2人世帯3,223万円、子育て期世帯2,354万円、子どもと同居世帯3,129万円となっており、夫婦2人世帯の平均額が最も高くなりました。
■還暦人の月ごとの消費は?|「健康維持」に平均1万3千円、「趣味」には平均1万4千円
全回答者(2,000名)に、<健康維持のためにお金を使っているか>を聞いたところ、「健康維持にお金を使っている」という人は61.8%となりました。
健康維持にお金を使っている人(1,237名)に、ひと月あたり(自身1人分で)どのくらいの金額を使っているか聞いたところ、「10,000円~20,000円未満」(31.9%)や「5,000円~10,000円未満」(26.7%)に回答が集まり、平均額は12,809円となりました。平均額を男女別にみると、男性14,364円、女性11,359円となり、男性のほうが3,005円高くなっています。
次に、趣味のためにお金を使っているかを聞いたところ、「趣味にお金を使っている」という人は68.6%となりました。
さらに趣味にお金を使っている人(1,373名)に、<ひと月あたり(自身1人分で)どのくらいの金額を使っているか>を聞いたところ、「10,000円~20,000円未満」(29.4%)や「5,000円~10,000円未満」(22.6%)に回答が集まり、平均額は14,435円となりました。
平均額を男女別にみると、男性17,405円、女性11,062円となり、男性のほうが6,343円高くなりました。
■“アラセブ”まで現役!「還暦を過ぎても働きたい」が8割半
今年の還暦人は、仕事に対してどのような意識を持っているのでしょうか。
59歳時点で就労をしている・していた人(1,426名)に、還暦(60歳)以降、何歳まで働いていたいかを聞いたところ、「60歳まで(=60歳以降働きたいと思わない)」は15.3%となり、61歳以上の年齢を回答した人の合計は84.7%に上りました。なかでも「65~69歳まで」(39.8%)や「70~74歳まで」(24.2%)に回答が集まり、平均は67.2歳になりました。
70歳前後の“アラセブ”(around 70)まで現役で働いていたいとする還暦人が多いようです。
■還暦を機にやりたいこと|1位は「不用品処分」、還暦男性の8人に1人が「資産運用」を選択
全回答者(2,000名)に、<還暦を機にやりたい・チャレンジしたいと思っていることや、計画していること>を聞いたところ、1位「不用品を処分する」(39.4%)、2位「新しい趣味を始める」(21.6%)、3位「家のリフォームをする」(10.7%)となりました。
男女別にみると、「不用品を処分する」は女性では49.8%、男性では29.0%と、女性のほうが20.8ポイント高くなりました。還暦女性の多くが、断捨離に取り組みたいと思っているようです。
また、男性では8人に1人(12.5%)が「資産運用をする」を選択しました。還暦男性には、資産運用で、老後の生活に備えたいと考えている人が少なくないようです。
■還暦人が抱える不安|1位「収入の減少」2位「身体能力の低下」3位「年金制度崩壊」
還暦人は、どのようなことに不安を感じているのでしょうか。全回答者(2,000名)に、<還暦以降(60歳以降)の人生で不安に思うこと>を聞いたところ、1位「収入の減少(60歳以降の雇用形態の変更など)」(58.5%)、2位「身体能力の低下(体の病気や寝たきりなど)」(52.6%)、3位「年金制度の崩壊」(48.2%)となりました。収入の減少や年金問題といったお金に関する不安や、健康に関する不安を抱えている人が多いようです。
男女別にみると、「身体能力の低下(体の病気や寝たきりなど)」(男性47.0%、女性58.2%)、「判断能力の低下(認知症等脳の病気や車の運転など)」(男性34.4%、女性49.1%)、「自分の介護」(男性30.1%、女性44.0%)、「容姿の老化」(男性16.2%、女性32.2%)では、男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなりました。還暦女性には、老化で体の状態が変化することや、介護の問題に対して、不安を感じている人が多いようです。
■還暦人が行っている老後の準備|1位は「貯蓄・資産運用」、「運転免許の自主返納」は2%
全回答者(2,000名)に、<老後の準備として行っていること>を聞いたところ、1位「貯蓄・資産運用」(47.7%)、2位「体力づくり」(33.9%)、3位「健康診断の受診」(31.5%)となりました。不安に思うことで上位となったお金や健康の問題に関して、具体的な準備を行っている人が多い結果となりました。「エンディングノート・遺言書の作成」(7.4%)や「遺産相続対策」(6.3%)、「デジタル遺品の整理」(3.5%)といった“終活”に関する準備はいずれも1割以下でした。また、「運転免許証の自主返納」(2.2%)はわずかでしたが、近年高齢者の重大事故が大きく報道されているためか、既に運転免許証の自主返納を済ませた還暦人もいるようです。
男女別にみると、「友人との交流」は女性では22.0%、男性では10.9%と、女性のほうが高くなりました。還暦女性は、老後の友人関係を重視する傾向が高いようです。
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いかがでしたか?
老後の生活に対して前向きな夢や目標を持つ還暦人の姿や、不安を抱えながらも具体的な準備を行って老後に備えている還暦人の姿が垣間見られました。それぞれのライフスタイルに合わせて、今まで以上に自由度の増した定年後の人生設計を組み立てていきたいですね。
調査期間:2019年4月19日~22日
調査対象:2019年に還暦(60歳)を迎える1959年生まれの個人
有効回答:2,000人