先月、オウム真理教による一連の事件で死刑が確定した元幹部ら13人の刑が執行された。
高まる死刑制度への意識について、三和書籍が、20代から70代の全国の男女497人にアンケートを実施。その調査結果を紹介しよう。
死刑制度の存続・廃止について
死刑は存続させるべきである、と回答した人が295人、と過半数を超えている。
このうち、「死刑は存続させるべきである」と回答した人の理由のトップは、
・凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ(208人)
以下、
・凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと、また同じような犯罪を犯す危険がある(172人)
・死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない(168人)
・死刑を廃止すれば、凶悪な犯罪が増える(138人)
などとなっている。
「死刑は存続させるべきである」と答えた人に、仮釈放がない「終身刑」を新たに導入すれば、死刑を廃止したほうがよいと思うか?という質問では、
廃止すべきではない(215人)、が圧倒的多数である。死刑を存続させるべき、と答えた人は他の刑に代替させるべきではない、と考えていることがわかる。
一方、「死刑は廃止すべきである」と回答された人に理由を聞くと
・裁判に誤りがあったとき、死刑にしてしまうと取り返しがつかない(29人)
・国家であっても人を殺すことは許されない(25人)
・刑罰であっても、人を殺すことは人道に反し野蛮である(23人)
・死刑を廃止しても、凶悪な犯罪が増加するとは思わない(23人)
・生かしておいて罪の償いをさせた方がよい(21人)
・凶悪な犯罪を犯した者でも、更生の可能性がある(6人)
と、「冤罪」について回答している人が多いが、こちらはかなり多様な意見がある。
死刑制度があることによる「犯罪抑止力」はあるかどうか、を聞くと
「思う」と答えた人が239人と多いが、「思わない」と答えた人(93人)に「一概には言えない」と答えた人(140人)を足すと233人と「思う」と答えた人の人数にかなり近くなる。死刑制度の「犯罪抑止力」については、懐疑的な人も多くいる。
死刑制度は世界的に廃止の意見が多いが、「世界の106カ国がすべての犯罪において死刑を廃止し、142カ国が法律上あるいは事実上、死刑を廃止している」(2017年末時点)ということを知っているかどうか、を聞いてみた。
「知っている」(280人)と過半数の人が知っていると答えている。
また、重ねて「欧州連合(EU)基本権憲章には、『何人も死刑に処されてはならない』との規定がある。今や、EU加盟28カ国はすべて死刑を廃止しているうえ、死刑廃止はEUの加盟条件となっている」ということを知っているか、を聞くと、
こちらは「知らない」が290人。ほとんどの人がEUで規定されている、ということについての認知は低い。
全体的に今回の調査では、死刑制度について世界の風潮に関わらず、日本では「存続」とする意見が多いようだ。
あなたは、どう考えますか?
【調査概要】
調査主体:三和書籍(http://sanwa-co.com/)
アンケート実施期間:2018/07/30~2018/07/31
アンケート対象者 :20歳以上の全国の男女
全体の回答者数 :497人
男女内訳 :男性 304人、女性 193人
回答者の年代:20代 19名、30代 84名、40代 183名、50代 150名、60代 55名、70代 6名