自分の体が自分の思うように動かず、妊娠はストレスだった

アルバイトであっても2つを掛け持ちしていて実家で生活していた絹子さんは、正社員の友人たちよりも稼いでいた。貯金ができたことで1人暮らしを始める。

「ずっと仕事をしていたので、遊ぶ時間もなくてお金は貯まっていく一方でした。昼間の仕事のほうが忙しくなったので、居酒屋をやめたんです。そうしたら、昼間の仕事で終電になってしまうことも増えて、月に40万ほど稼ぐようになっていました。電車で1時間ほどかかる実家に終電で帰るのが辛くなったので、会社の近くのアパートで1人暮らしを始めました」

1人暮らしを始めたことで付き合った人が絹子さんの家に入り浸るようになったという。その相手が後の夫だった。

「同じ昼間の職場で働いていた2歳上の彼氏が私の家で生活するようになって、そのまま付き合いが続き、結婚することになりました」

結婚した理由は、子どもができたから。子どもができたことは嬉しかったというが、妊娠期間がとても辛かったと絹子さんは振り返る。

「自分の体が自分の思うように動かせず、働けなくなってしまったんです。お腹は空くのに、食べると気持ち悪くなり吐いてしまう。起き上がる気力もどんどんなくなっていき、なぜこんなに辛い思いをしてまで子どもを産まないといけないのか、という思いにまで至ってしまいました」

悪阻が落ち着いてから両家の顔合わせや結婚の挨拶を行い、お腹が大きくなりすぎる前に家族だけの小さな式を行った。出産するまでバタバタだったというが、絹子さんはその忙しさがありがたかったという。

「暇な時間が辛かったんです。家でただぼーっとしていると、誰からも必要とされていないことを痛感してしまうというか。子どものために休まないといけない時期と言われても、私のお腹はなかなか大きくならずにその子どもの実感が持てなかったんです。仕事から帰って来る夫の姿を見ると、働けていることを羨ましく思ってしまい、それがきっかけでケンカに発展してしまうこともありました。だから、夫と顔を合わせないように出産するまでは実家に戻り、そこで結婚式の準備などをしていました」

家庭よりも仕事をしているほうが楽しいと感じてしまう。何度も離婚したいと夫に伝えるが。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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