「年齢を重ねるほど貰い手がなくなる」

離れて暮らしてたまに会う関係になったこと、そして安里さんが大人になって親に確認せずに進められることが増えたことで、母親から否定を受ける機会は減った。しばらくはケンカもなく良好な親子関係が続いたが、26歳を迎えた頃から「結婚」への催促が始まり、母親との仲は徐々に悪化していったという。

「最初は『誰かいい人いないの?』というような質問だったと思います。今まで異性のことなんて聞かれたことがなかったから、ギョッとしました。遠慮気味に聞いてきたのはその最初だけで、そこからは『結婚しなさい』など直接的なものはもちろん、『売れ残ったら貰い手が余計なくなる』とか『たいした仕事もしないで1人でずっと生きていけない』とか、否定され続けましたね」

安里さんがそれまで付き合った男性は2人。どちらも他に女性ができたとフラれていた。

「私は自分に自信がないんです。だから付き合った男性は自分から好きになった人ではなく、何度も相手からアプローチをしてきてくれた人。でも、そこまで好きだと言ってくれた人だったのに、私の中身を知って他の女性を選んだんです。

1人で一生生きていく覚悟なんてなかったけれど、それと同じくらい、他人のことを心から信用して一生一緒にいることも想像できませんでした」

帰省する度に結婚しろとうるさい親に対して、帰省する機会を仕事が忙しいなどの理由をつけて減らしていった。結婚について親と面と向かって言い合えなかったのは、これ以上否定されたくなかったからだという。

「もう親に頼ることなく生活をしていて、親の存在が前よりも大きくなかったんです。だから次に何かを否定されたら、もう関係が壊れてしまうほど言い返してしまう気がしたので、顔を合わせないほうがいいと思っていました。

母親のことは好きじゃないのに、完全に縁が切れてしまうのは怖かったんだと思います」

祖母の葬儀の場で未婚を罵られ、今までの鬱憤が爆発してしまった。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

1 2

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2025年
6月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店