認知症、介護、相続、手続き……「おひとりさま」でも安心な老後を送る人は、どんな準備をしているのでしょうか。司法書士として数多くのおひとりさまをサポートしてきた岡信太郎さんの著書『「ひとり終活」は備えが9割』(青春出版社)には、おひとりさまが陥りがちなリスクを例示しながら、失敗しない「終活」のためのノウハウが詰まっています。

今回は、『「ひとり終活」は備えが9割』から「ひとり終活」の始め時について取り上げます。この記事を構成するライターの私も50代未婚の単身者なので、他人事ではありません。みなさんも一緒に学びましょう!

ひとり終活は早ければ早いほどいい

実際、なかなか手をつけられない依頼者の方から、「何歳になったら終活を始めたらいいでしょうか?」と尋ねられることが、しばしばあります。
結論から言えば、早ければ早いほどいいと断言できます。
これまで、終活を始めようと思った矢先に入院してしまったり、要介護状態となったり、急逝してしまったりした方々をたくさん見てきました。自分の思いを実現できないまま、人生の終盤を迎えてしまうのです。

健康寿命を考慮して考えよう

そもそも、終活という言葉が持つ意味は広く、決めなければならないことはたくさんあります。一朝一夕にできるものではないのです。
これまでの自分の人生を見つめ直し、これからの人生設計を行うのが本来の終活です。一定の手間や時間がかかることを理解しなければなりません。
早ければ早いほどいいと言ったのは、気力・体力があるうちでないと進められないからです。いずれにせよ、「思い立ったが吉日」ととらえておきましょう。
終活を始めるきっかけは、知り合いが始めた、親戚が亡くなった、認知症の人が事故に巻き込まれたニュースを見てなど、何でもいいと思います。まずは行動に落とし込むことが重要です。
「何歳から始めたらいいのか?」という質問に対しては、健康寿命を目安にすることを提案しています。
健康寿命とは、介護や支援を受けずに日常生活を送れる時期のことです。統計の年によって差はありますが、72歳から75歳の間で推移しています。このあたりの年齢を基準に「ひとり終活」を始めるのが理想です。
決して平均寿命を基準にしてはいけないということは、明確にお伝えしておきたいところです。ちなみに、厚生労働省の推計によると、2022年の日本人の平均寿命は男性が81・05歳、女性が87・09歳となっています。
では、なぜ平均寿命では遅いのでしょうか?
平均寿命の段階になると、持病が悪化したり、介護が必要となったり、認知症を発症している恐れがあります。
先ほど述べた気力・体力が低下するのもこの頃です。いろいろな説明を聞く、書類を確認する、資料を揃えるといったことが難しくなっている可能性があります。
「もっと早くやっていれば」とならないよう、「いつやるか? 健康寿命まででしょ!」という言葉を胸に刻んでいただければと思います。

*  *  *

「ひとり終活」は備えが9割 事例と解説でわかる「安心老後」の分かれ道
著/岡信太郎
青春出版社 1,210円(税込)

岡信太郎(おか・しんたろう)
北九州市出身。司法書士、合気道指導者、坂本龍馬研究家。関西学院大学卒業後、司法書士のぞみ総合事務所を開設。政令指定都市の中で高齢化が進む北九州市で、相続・遺言・成年後見業務を多数扱う。介護施設の顧問を務め、連日幅広い層から老後の法的サポートに関する相談を受けている。合気道の調和と護身の精神を取り入れた執務姿勢で、依頼者の厚い信頼を得る。司法書士業務の他に、全国龍馬社中(全国・世界各地の190団体以上の龍馬会が所属)の役員や、合気道祥平塾小倉北道場の代表(公益財団法人合気会 合気道五段)を務める。

 

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