これ以上謝っている義母を見たくないと思った

莉子さんは義両親と一切交流のなかった期間が長く続いたが、1年前まで莉子さん家族は義母と一緒に暮らしていた。義両親は義母のケガをきっかけに離婚したからだ。

「義母は家で転倒して足を骨折してしまって、それによって歩行能力が低下して、歩行補助具が必要になりました。家事がままならないことが多くなったのに、義父はそんな義母を心配せず、家事を手伝うなどもせず、今まで通りの生活を続けたそうです。そのことで義母というよりも夫と義姉が怒り、義母が離婚に踏み切る後押しをしたそうです。夫は『両親にはずっと別れてほしいと思っていた』と言いました」

義母は1人暮らしができる状態ではなかったため、夫は莉子さんに同居を相談してきたそう。莉子さんは「いいよ」とも「無理」とも即答できなかった。それまでずっと会っていなかった義母と顔を合わせたことで、同居を決意できたのだという。

「会ったときの義母は、私がイメージしていた義母よりも当たり前ですが老けていて、小さくなっていました。義母は『施設に入るから』と、同居を強く望んでいるようではなかったんです。私の顔を見て、また謝っている義母の姿を見て、同居を決意しました。私はこの人のことを何も知らないなって、知りたいなって思ったんです」

義母は1年前に亡くなり、最後は病院で過ごす時間がほとんどだったが、最後まで莉子さん家族が看取ったという。莉子さんは「お義母さんのここが好きで、ここが嫌いだなってところが10年ほど遅れてわかりました」と義母との生活を振り返る。タイミングに「今さら」や「遅い」などはない。莉子さんにとって10数年という疎遠期間があったからこそ、最後には家族になることができたと笑顔で言えたのだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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