家に居たくないと、深夜勤務のアルバイトをしていた
週に2回は塾に通い、家では兄に勉強をチェックされるようになった。その頃から兄との関係も悪くなっていったという。
「兄は私の家庭教師として親からお小遣いをもらっていました。お金がもらえたから私の勉強を見てくれていただけで、嫌々だったんだと思います。何度説明されても兄の教え方では理解できないことが多く、その度に兄はイライラしていました。
兄も母と同じように、私を見て大きな溜め息をつくことが多かったですね」
父親との関係は悪くなかったが家族の中で一番遠い存在だった。大学になると家にさらに居づらさを感じ、学校以外の時間のほとんどはアルバイトをしていた。
「いろんなバイトをしました。飲食店のキッチンやホールの仕事など合わなかったものもありましたが、倉庫などの軽作業は続きましたね。学校が休みの時期は夜中から朝にかけての深夜勤務を選択して、親が家を出た後に帰り、家では寝るだけの生活をしていました。そのときには家族のことを苦手だと感じていました」
一度は離れつつあった母親の関心は、孫が生まれたことで変わってしまった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。