女性は蔑視を受ける側という思い込み
真琴さんの結婚相手は職場で出会った同い年の男性。夫は上司からは可愛がられ、部下からは慕われていて、女性蔑視的な印象はまったくなかった。実際に結婚後も優しい印象は変わらなかったという。しかし、その優しさの中に“女性だから”と自然に任せられる家事が多かったそう。
「父親のような亭主関白のような思考がある人とは絶対に結婚したくなかったから、真逆の尻に敷かれるタイプを選んだつもりでした。
でも、そうじゃなかった。優しいことには変わりないんですが、父親とは違うタイプで、女性蔑視をする人でした。例えば、家事を頼んだとしても『君のほうが得意だろうからやって』とか、食品の買い物も付き合うというスタンスで、重いものは持ってくれるけれど、家に帰って来たらそのまま、とか。冷蔵庫に入れるのは女性のほうの役割だと思っているようでした」
また、結婚してから自分の中にも“男性はこうあるべき”という思考にも気づいたという。
「子どもをなかなか授からなくて、不妊治療を選択することなく夫婦2人での生活を私たちは選んだ過去があります。夫とは今は別々のところで働いているのですが、仕事に対する考え方の違いが結婚してから気になるようになって。その違いは、夫は給料も生活できれば十分でプライベートを充実させたい人で、私は仕事でもっと高みを目指したいというか、お金をもっと稼ぎたいというタイプだということ。そんな仕事に対する価値観の違いで、『男のくせに仕事に対するプライドがないのか』って気づかずに夫に言っていたんです」
冒頭の調査でもあったように8割以上の人が「ジェンダーバイアスに気をつけているが、自身に思い込みがあると思う」と回答したように、真琴さんも「今さら考えの根本なんて変わらないと思って諦めてしまいそうですが、発言に対しては注意するようになった」という。
女性はジェンダーバイアスで被害を受ける側として認識されることが多いが、性別の思い込みを持つほうだと認識することもジェンダーバイアスを失くすために必要だと感じた。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。