取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたこと、親について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

毎年3月8日は国際女性デー。この日は世界的に女性の社会的地位向上など、ジェンダー平等を尊重する日と国連によって制定されている。その日に関連して、株式会社Voicyでは、ジェンダーバイアスに関する意識調査を実施(実施日:2024年2月20日〜26日、有効回答数:2175人(うち男性31.7%、女性66.0%、回答なし2.0%)、インターネット調査)。調査では、「ジェンダーバイアス(性別による思い込み)は良いと思うか、良くないと思うか」という質問に対して「良くないと思う」と回答した人は84.8%になるも、「あなた自身の中に、ジェンダーバイアス(性別による思い込み)があると思うか」という質問に対して「あると思う」との回答が81.4%という結果になっており、まだ日本ではジェンダーバイアスが根強い印象を受ける。

今回お話を伺った真琴さん(仮名・43歳)は、亭主関白の父親から女性蔑視の扱いをずっと受けてきたと訴える。

家では岩のように動かない、話さない父親

真琴さんは岡山県出身で、両親と2人の兄との5人家族。家では寡黙な父親が居間で岩のように動かず、兄たちも家事を一切手伝わなかった。家で忙しく動き回る母親の手伝いを真琴さんは小さい頃からずっとしていたという。

「父親はまったくしゃべらないし、動かない。家で楽しそうにしていることなんて一切ないのに、飲み歩きもせずに早く帰って来ていました。父親が帰って来てからはテレビのチャンネルの権利は父親になり、食事中はテレビを消されていました。当時学校では面白かったテレビの話題になることが多かったのですが、私はその話題に一切ついていけなかったことを覚えています。

そんなまったく動かない父親を見習ってなのか、兄たちも早くにテーブルに座ってぼーっとご飯の用意を待つんです。テレビも見れないから暇なはずなのに、2人ともじっとしているだけ。私は全員分のご飯を1人で用意する母親を自然と手伝うようになりました。忙しくしている母親のことがかわいそうに見えて……」

上の兄は父親にそっくりに育ったが、2番目の兄は真琴さんに優しかった。そんな2番目の兄は父親と折り合いが悪くなり、高校を卒業後すぐに家を出て行き、そこから20年ほど戻ってくることはなかった。

「上の兄は私と6歳差で、2番目の兄は2歳上でした。2番目の兄は、お兄ちゃんというよりも、友だちのような感覚で、父親に隠れて一緒に夜更かしをしたり、兄が友だちからもらったというマンガを貸してもらったりと、家にいて楽しいと思えたのは兄との時間でした。

でも、その兄は父親との折り合いが年々悪くなり、高校卒業後に地方に就職をして家を出ていきました。2番目の兄が戻ってきたのは、父が亡くなったときでした」

【2番目の兄、私が離脱し、家に残ったのは上の兄だけだった。次ページに続きます】

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