病気によって180度変わった人生は幸せ?
相手の離婚後に2人は入籍するが、嬉しいという気持ちよりも申し訳ない気持ちが強かった。義両親に入籍することを伝えたとき、義両親の無理やりに作られた微笑みが今も残っているという。
「離婚は少し揉めたみたいです。私は治療中だったこともあり、当事者なのに関与していません。義両親への挨拶も夫からは大丈夫だと言われていたのですが、無理やりにさせてもらいました。
不倫関係だったことは伝えていませんが、離婚となってからすぐに入籍したことで察知されているでしょうね。入籍を焦る必要はないと言われたときに病気があることも伝えたのですが、あの苦笑いは不倫と病気のどちらに向けられたものなのか。どちらにしても、こんな新しい嫁は嫌ですよね。あれ以来、義両親とは会っていません」
2020年に乳がんの遺伝子検査が保険適用になっていたこともあり、梨花さんは医師から検査を勧められて受けることに。そして、遺伝子に変異があることがわかり、予防として反対側の乳房と、子宮も摘出することになった。現在はその手術を待っている状態だ。
「ずっと子どもとかを気にしたこともなかったのに、病気になって女性の機能がなくなることがわかると、産んどけばよかったと後悔した。今が幸せならいいと不倫を続けて結婚も望んでいなかったのに、未来を考えて1人になりたくなくて結婚を選んだ。勝手な人間ですよね」
不倫だけではなく、長い交際期間があるカップルが結婚に至るには何か大きなきっかけが必要だと言われる。梨花さんは病気がきっかけになったが、この結果が幸せだとは一切思えないという。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。