私の娘に「嫁け(いけ)」「産め」プレッシャー

それでも友人関係を続けていたのは、さみしかったから。祐子さんには友達がいないというコンプレックスがあるからだ。

「私の興味があることは、水墨画とクラシック音楽なの。水墨画は先生について習っているんだけれど、もうご高齢でしょ。一緒に習っていた方も、お友達になれるタイプでもない。だから、“話が面白くないな”と思いながらも、美和さんたちとつながっていたのよね」

夫について聞くと、一緒にいるときは優しく、家族には紳士的に接してくれて、お金に不自由したことはないという。さらに驚いたのは、結婚38年間、一度もケンカをしたことがないことだ。

赤の他人の男女が夫婦になるには、これまで生きてきて培ってきた自分自身のみならず、心の核のようなものを、こすり合わせるような作業をする。それには摩擦がつきもので、時には血を流すこともある。

「それがないの。私たちが仲良し夫婦で、娘たちが“パパとママみたいになりたい”と言うのよね。だから、上の娘(37歳)も、下の娘(35歳)もお嫁にいかないみたい」

一方、ママ友・美和さんほか同じグループの友人の子供たちは、30歳になる前に結婚し、孫が複数人いる人もいる。

「誰かの孫が生まれるたびに、ウチの娘たちの話が始まるの。結婚しないのは異常じゃないの? 顔がかわいいんだから結婚できるでしょう、とかね。失礼しちゃう。こういうのって“嫁け(いけ)ハラ”“産め(うめ)ハラ”って言うんでしょ? 私のことを悪く言われるのはいいけれど、娘のことまで悪く言われたらたまらない。そこで終活の一環として、美和さんたちを断捨離することにしたの」

友人関係の整理の仕方は、さまざまなマナー本が解説している。“腐れ縁を断ち切るには会わないことです”“もっともらしい理由をつけてLINEグループを抜けることです”などなど。年賀状をやめることについても「本年を持ちまして、新年のご挨拶を失礼させていただきたく存じます」などの例文とともに、マニュアルが存在する。

しかし、マニュアル通りに行動することが必ずしも、いい結果をもたらさない。実際に、祐子さんはマニュアル通りに人間関係を断ち切ったが、その後の孤独と疎外感が辛いという。

【夫には長年交際している彼女がいた…その2に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)、『沼にはまる人々』(ポプラ社)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などにも寄稿している。

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