「妊娠してしまうのも怖い」

夫が出て行ってから数日後、義両親の家に行っていることがわかる。義両親にはみゆきさんに浮気の疑惑があることになっており、否定をしても「疑わしい行動はするな」と一喝された。

「拒んだことイコール浮気だと思われていたみたいで……。もちろん浮気なんてしていません。何の証拠もないのに、義両親には浮気をしていると確定しているように伝えられていました。

私は夫婦生活で拒んだことをもう赤裸々に語ってやりました。もう、やけくそでしたよ。そしたら、義両親は一瞬怯んだ感じではありましたが、そこからは疑わしい態度をするほうが悪いと。義両親の前で夫に謝罪をすることになり、それで夫の気は晴れたのか、そのまま一緒に帰宅しました」

「そこから、夫婦生活は同意がないものへと変わっていった」とみゆきさんはいう。

「体調が悪いから、育児でこんなに疲れているからと詳細を伝えても、『浮気なのか?』と言われるだけ。最悪なのは、浮気していないかの確認で、私の今履いている下着のチェックまでするようになったこと。下着の確認中にそのまま問答無用で関係を求めてくるようになりました。

実は、妊娠が怖くて数年前に避妊リングを入れました。子どもは2人で精いっぱいなので」

冒頭の内閣府の調査でも触れたが、配偶者や恋人であっても同意のない性行為は犯罪行為となる。夫婦の性生活の悩みはたとえ親しい人でも相談しにくい。みゆきさんには何でも話せていた母と姉がいるが、「2人とも相手の浮気で苦労しているので、私の悩みは贅沢だと言われるのが怖くて相談できませんでした」と語る。セックスレスは離婚事由になるが、性暴力も離婚事由になることを忘れてはならない。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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