取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

ARINA株式会社が運営する幼児、小学生の親御さん向けの教育メディア「おうち教材の森」は、日本全国の中学生以下のお子さんをお持ちの親御さんを対象に「義親に言われて1番傷ついた一言は?」とアンケート調査を実施(調査方法:インターネットアンケート 調査期間:2023年1月17日)。1位は「息子(娘)がかわいそう」だった。回答には、『子育てをしながらパートで働いていましたが、正社員で働かないと収入が少なく、息子の給与をあてにしてたら、息子がかわいそうだからもっと働けと言われた』とのコメントがあった。

今回お話を伺った美和子さん(仮名・45歳)も義母からの過干渉で育った夫に苦労している1人。

「私たち夫婦には子どもが1人いるんですが、夫は学生時代からずっと義母からお小遣いをもらい続けていました。そのことを恥ずかしいとは、義母も夫も思っていないようなのです」

3人姉妹の末っ子だった私は、親に何も期待されずに育った

美和子さんは大阪府出身で、両親と5歳上と2歳上に姉のいる5人家族。気が強くて両親と折り合いが悪い長女、マイペースな次女という姉たちを持ったことで、「自分は周囲の空気を昔から読むのがうまかった」と自己分析する。

「2人の姉たちを反面教師として、こんな言い方をしたら親から怒られるんだなというのを自然に覚えていました。親からすると3人も娘がいて、元々一番下なんてそこまで干渉されないんでしょうけど、いい子にしていたからさらに自由でしたね。それが一番上の姉から見たら気に入らなかったようで、今はもう普通に接していますが、姉が結婚するまでは真ん中の姉がいなければ会話さえなかった感じです」

一番上の姉が美和子さんのことで一番許せなかったと語るのは、美和子さんの専門学校進学。姉が進路を決めるときには、両親は専門学校進学を猛反対。結局短大に進学することになった過去が姉にはあった。

「一番上の姉が進学のときには、両親は、専門学校は専門のことしか学べないから就職で苦労するという考え方だったみたいです。でも、私は美容系の専門学校に進学したのですが、そのときには『進学するんだからちゃんと美容師の資格は取りなさいよ』と言われただけでした。姉からしたら普段からあまり怒られない私が優遇されているように見えたんでしょうね。放任や期待されていないだけかもしれないのに。

期待されていなかった私はちゃんと美容師の資格こそ取りましたが、最初に働いたところは1年で辞めてしまいました。フリーターになっても親から何かを言われることはありませんでしたね」

【同棲中から冷蔵庫には母親が作った総菜があった。次ページに続きます】

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