女性と会った後に、母の墓前に供えるシュウマイを購入
女性はその後、11時過ぎに別の男性と出て来て、その人の出張先であろうホテルに深夜3時まで滞在。
タクシーで高円寺のアパートに帰っていきました。帰宅途中にコンビニに寄り、3000円分のスイーツとお酒を購入。女性はシングルマザーと言っていますが、明かに一人暮らしでした。ホテルで見せていた上品で優雅な雰囲気とは異なり、自宅はかなりの汚部屋であることが想像できます。
ひとまず、証拠が押さえられたので、依頼者・尚子さんに報告しました。レポートを見ながら「このシュウマイ、母の好物で、この日も仏壇に供えてありました」と目を真っ赤にさせていました。
「これは一度、父に話をしなくてはいけないのですが、どうやって話したらいいでしょうか」と言うので、「お金の出費のことだけ伝えて、それ以外のことは伏せて置いてはいかがでしょうか」と言うと、「そうします」と言っていました。
それから3日後、尚子さんから連絡があり、「父と話をしました。200万円の使い道はパパ活ではなく、母が成仏していないと脅してくるスピリチュアル……というか、祈祷師にだまされていたんです」と憤っていました。
「父は母が亡くなってから、家の中で母の気配を感じることがあり、この世で迷っているのではないかと直感したそうです。そこで人づてに知り合った祈祷師に相談したら、母が苦しんでおり、父が振り込め詐欺に引っかかったのは、母の警告だと言われたそうです。そこで、母があの世で苦しまないための祈祷代として、10万、20万と支払っていたのだそうです」
アプリについては、“いいね”をもらえるのが気持ち良かったとのこと。女性との付き合い方については尚子さんの息子から「金を払ったらパパ活になるし、男の負け。あれは恋愛のゲームだから」と教えられていたそう。
「でも、キレイで愛らしい女性からチヤホヤされるのは気持ちがよかったようで、“お茶代で済むキャバクラみたいだ”と感想を述べていたんです。言われてみると、父のことを母は常にほめていました。“あなたは部下の心をつかんでいる”“あなたほど賢い人はいない”などと言っていたのです。母が父を賞賛していたから、父はあそこまで社会的に上り詰めることができたのだと改めて思いました」
尚子さんは近くに住む姉とともに父と亡き母の思い出について語る時間を持つようにしたんだそうです。それを繰り返すうちに、父の心も落ち着き、これまでのようにゴルフなどに出かけるようになったそうです。
家族がいるから生まれる深い悲しみと喪失感……特殊詐欺も問題ですが、傷ついた心に入り込むスピリチュアルもまた、警戒が必要ではないのかと感じてしまいました。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/