また一緒にいる理由は罪悪感? それとも責任感?
巧さんが離婚したのは35歳のとき。そして、今、巧さんの隣にいるのも元妻だという。
「コロナ禍に入って少ししたぐらいにSNSを通して連絡があったんです。そのときは自分も当時は未知なるウイルスに不安を感じていたからつい返信してしまって。そこからなんとなく連絡を取り合うようになり、近況を報告している中で、相手が働いていることを知りました。まぁ再婚などせずに1人だったら自分を食べさすために働かないといけないわけで、それが普通なんですけど、結婚していた頃から考えると別人のようにしっかりしているように見えたんですよね」
元妻は仕事のほかに結婚生活のときに拾ってきた猫をきっかけに保護猫の活動に興味を持ち、活動を手伝うこともあるそう。別人のような元妻の姿にほだされ、再び2人は恋愛関係になる。これから先は夫婦よりもパートナーとして一緒にいることを巧さんは望んでいるが。
「まだただの恋人です。でも、これから先も一緒にいたい思いはあります。私たちの離婚はお互いが相手を思いやれる気持ちや努力が足りなかったからだと思っています。そんな気持ちになれたのは今だからこそですけどね。離婚からしばらくはずっと結婚しなければよかったという気持ちでいっぱいでしたよ。
私は一緒にいる関係に婚姻関係を求めていません。でも、相手からはどういう意味かわかりませんが『戻りたい』と言われています。もちろん、早々に答え出すつもりはない、というか出せません。もう一度信じたい気持ちなのか、あのとき幸せにできなかったという後悔なのか、自分でもよくわからない状態なので」
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復縁したい理由の1つに、後悔がある。どんなことに対しての後悔なのかは人それぞれ違うが、巧さんは幸せにできなかったという後悔が強いようだ。離婚のときに、妻を養っていかなければいけないという“責任から逃げた”ことが罪悪感として残ってしまっている。結婚は責任を持たなければいけないことかもしれないが、それよりも前提としてあるのは相手を好きという気持ちであり、これからもずっと一緒にいたい気持ちが大切である。その気持ちが先に来ないようであれば二度目の結婚もうまくいかない可能性が高いだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。