庶民的な日本料理店であけすけな会話
2人が入って行ったのは、予約せずとも入れる居酒屋テイストの日本料理店。他の客から顔が見えないカウンター席に自動的に案内されていたので、顔なじみなのでしょう。
コロナ禍とはいえ、お店は混んでおり、私たちはその後ろのテーブル席に案内されました。
女性はかなり積極的で、「好き」とか「大好き」などと気持ちを伝えている。それと同時に、秘書仲間とのうわさ話を夫に伝えています。夫の声のトーンや間合いを計っていると、彼女については「口が軽い人だな」と思いながらも、ここまで好きと言われて、嬉しさが隠しきれないという感じ。
「人生の旬が過ぎた60代に、男として認めてくれる魅力的な女性がいるって幸せだ」などと言っています。そこには男の欲望が溢れており、それを察知した女性はホテルに積極的に誘っています。かなりあからさまな言葉を使っており、夫の気持ちも動きかけている。
しかし、それでも「今日はやめておくよ」と言っている。すると「え~、悲しい。またですか? いつになったらOKをくれるんですか?」と甘えている。
2時間ほど食事とお酒を楽しみ、店を出ると彼女が先導するようにラブホテルが多いエリアへ。彼女は誘うけれども通過。そして大通りに出ると彼女をタクシーに乗せ、5000円札を渡します。私は彼女をタクシーで追跡。
ペアの探偵が夫を追ったところ、2駅分くらいある距離を歩き、その後、電車で帰宅したそうです。
彼女は23区内のマンションに入っていく。彼女についての調査をすると、離婚歴がある52歳の女性で、現在27歳の娘と2人暮らし。元夫から譲られたマンションに住んでいることがわかりました。
恋愛関係はないことがわかりましたが、この調査結果はかなり微妙。以上を依頼者・桂子さんに報告。すると、「ただただ悲しいです」と泣き崩れていました。
「結婚して35年、夫の両親の介護などいろんな困難を夫婦で助け合い、子供を育て、家も買いました。今まで何もなかったのに、なんでこんな人と……」
その後、帰宅し、夫は驚きながらも、「ゲームだよ。相手のノリもよかったし、年下の女性に好かれるのは悪い気はしなかった」と弁解。そして「本当に愛しているのは桂子だけだ。本当に遊びだったんだ」と謝って来たそうです。もちろん男女の関係はなく、しようと思ったこともないとか。
「さすがに、日記を見て、そこに書いてあった、薬を飲もうとしてたことは言いませんでした。でも、顔を見ると思い出してしまうんです。今は娘夫婦の家に行き、別居しています」
娘夫婦にしてみれば、子育てと家事の即戦力になる桂子さんが家にいると、千万の味方を得たようになります。桂子さんも夫の世話をするよりも、孫の世話をして感謝された方が楽しく、娘の家の近くにアパートを借りたそうです。それから半年、離婚もせず、言い争いもせず、心の距離だけが離れていくという状態が続いているそうです。
このように、「裏切り」の定義は人それぞれ。おしどり夫婦と言われてきた人ほど、異性とのちょっとしたデートを裏切りと思う傾向があります。表面上は「今更、誰とナニをしようが関係ない」と言っていても、実際にそうなると、悲しみだけが根深く残るケースも多い。また、習慣としている日記から、浮気が露呈する依頼も増えています。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/