娘が産んだ子供と、お嫁さんが産んだ子供では勝手が違う
青春時代を共に過ごした仲間とは、夫や子供のグチ、親のこと、義実家の悪口などなんでも話し合えた。
「お互いの性格を知り、それぞれの家族とは直接会わないから、悪口も言いたい放題でした。子供が幼い頃は長電話する程度だったのですが、子供が幼稚園や学校に行き始めたら、年に3~4回集まって、散々話していました。みんな家も都内ですしね」
実家が裕福で、夫が大企業に勤務しているとはいえ、光子さんと友恵さんは専業主婦だ。自由に使えるお金は限られている。
「今みたいにオシャレで安いカフェがないから、ファミレスや喫茶店で集まっていたのですが、ある時、優子が“どうせならおいしいものを食べようよ”と言ってきたんです。“安くておいしいランチを見つけた”というから、予約をお願いしたんです。そして、楽しみにして行ったら、1人3000円だったんです。私にとってみれば、1000円でも“高いな”と思うのに、その3倍ですからね。同じく専業主婦の友恵も同じ表情をしていました。そのときから優子とは年に1回会う程度になっていたのかもしれない」
それでも、会っていたのは、女性の人生は波乱の連続だからかもしれない。子供の進学や就職や結婚、親の介護や終活、夫や自分の病気、相続についてなど、自分自身に変化はなくても、家族を“自分の一部”のように考え、真剣に悩む人が多い。だからこそ、忌憚なく話し合える友が貴重なのだ。
「そして、孫。3年前に優子に初孫が誕生。それから友恵にも生まれたんです。そのときに孫がいない私に対して遠慮するような口ぶりをするのが寂しかったですね。でも、半年前にウチのお嫁ちゃんが孫ちゃんを産んでくれた。私へのお祝いも兼ねて久しぶりに3人で会うことにしたんです」
そこで行われたのが、優子さん先導の「孫マウンティング」だった。
「優子のところの孫は3歳になっていますからね。今や教育は産まれている時から始まっているらしく、“妊娠中の娘と手分けして、孫を入れる塾や私立小学校の見学をした”などと言ってくる。優子の娘は成績優秀で、お婿さんも高学歴。その教育の話は参考になりますが、ウチは息子でしょ。まさかお嫁さんに“こうしたほうがいいよ”なんて言えませんからね。娘が産んだ子供と、お嫁さんが産んだ子供では距離感が違います。同じ孫でも“他人様”という感じがあるんです」
【旧友が置いていった、不潔極まりないベビー用品…その2に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。