取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「今も姉弟はバラバラ。血がつながっているからこそ相手を意識してしまい、歩み寄れません。それを親のせいにはしたくはないけれど……」と語るのは、美穂さん(仮名・39歳)。現在は大阪府内で旦那さまと子どもとの三人暮らしをしています。

母親は弟のもの。唯一の砦だった父親の単身赴任で孤独になった

美穂さんは兵庫県生まれで両親と3歳上に姉、5歳下に弟のいる5人家族。小さい頃から弟に付きっきりになる母親のことばかりを覚えていると言います。

「弟は小さい頃少し体が弱くて、体調を崩すと体に湿疹がでたり、吐いたりすることが多くて、それが体温が上がる夜寝ているときに多かったんです。だから母親はいつも弟と一緒に寝ていて、私たちは起こしてはいけないという思いもあったんだと思いますが、別部屋でした。小さい頃私はオバケとかが苦手で、一度トイレに入ったら怖くて出られなくなってトイレで大声で泣いてしまったことがあったんです。そのとき母は様子を見には来てくれたけど、『起こさないでよ』と冷たく言われたことを覚えていて。弟は何をしてもいいのに、なんで私だけって思いが強く残っています」

それでも父親はお姉さんと美穂さんに優しかったものの、小学生5年生のときに単身赴任で地方へ。お姉さんからはなぜか嫌われ、弟のことはいじめるようになり、母親から怒られることが増えるなど家はとても居心地が悪かったと振り返ります。

「父親はみんなに平等に優しくて、私とも一緒に遊んでくれていたのに、単身赴任でいなくなってしまった。家の中で一人ぼっちになったような気分でした。

姉とは仲良くしたかったのに、姉はすごく成績が良くて頭の悪い私をバカにして全然一緒に遊んでくれませんでした。一方の弟は母親を独り占めする疎ましい存在で、すぐ泣くあの子が大嫌いだった。お気に入りのおもちゃを隠したりするとすぐに泣いて母親に助けを求めるなど、甘え上手なところも嫌いだった。いじめを繰り返していると弟も近寄ってこなくなりました」

【弟は母親、姉は父親、じゃあ私は? 次ページに続きます】

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