取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った愛華さん(仮名・37歳)は32歳のときに結婚して、現在は旦那さまと子ども、そして義父との四人暮らしをしています。義父は愛華さんのことを娘のように接してくるそうですが、それが苦痛だと訴えます。
「義父は基本優しい方なのですが、本当の家族のように一線を越えた触れ合いを求めてきたり、セクハラまがいのことも『娘なんだから』『家族なんだから』の言葉で押し通されたり……。娘がいない人の父親と娘との関係をはき違えている気がするのです」
母と姉はケンカばかり。一時家を出た姉は子どもを身籠って帰っていた
愛華さんは兵庫県出身で、両親との4歳上に姉のいる4人家族。姉や母親とは常にケンカをしていたそうで、おとなしい父親はそれをいつも遠巻きに静観していたと言います。
「母親に姉、そして私も言いたいことをハッキリ口にするタイプで、いつも誰かがケンカしていましたね。特にひどかったのは姉と母親で、『出て行け』とか『死ね』みたいな言葉も飛び交っていました(苦笑)。私は何か文句を言われたら応戦するような感じで、中学生のときぐらいからはそのケンカに参加することなく父親の近くでまたケンカしているな~と2人で静観していました。父は本当に穏やかな人で無害という感じ。何でも言いたい放題の母親とバランスが良く、夫婦仲はずっといいと思います。小さい頃は母の怒りが父に向かうこともあったんですが、加齢に伴ってケンカも減っていき、父はいつも優しく姉に敗れて泣いて戻ってきた母親を慰めていました」
静観していた父親と愛華さんですが、母親と姉の仲はずっと険悪のまま、最後には姉が家を出る形になってしまいます。そして戻ってきたときには姉は未婚の母に。まだ学生だった愛華さんは姪のかわいさにメロメロになってしまったとか。
「姉と母親はこじれて、高校卒業と同時に姉は家を出て行ったんです。そこから4年後に戻ってきたんですが、そのときにはお腹がすごく大きくて。相手が結婚してくれなかったと、働くこともできずにどうしようもなくて家に戻ってきたようでした。臨月の姉を突き放すなんてできずに、そこからまた4人での生活になって、その後姉は無事出産。そしたら母と姉は孫がいるからなのかすごく仲良しになったんですよ。こっちが違和感を覚えるくらい。
私は当時大学生だったんですけど、姪のお世話をしたくて授業が終わったら真っ直ぐ家に帰るようになっていました。もう赤ちゃんのかわいさにメロメロになっちゃって、私も子どもが早く欲しいと思いましたね」
【父子家庭で育った夫はプロポーズと同時に父親との同居を条件に出した。次ページに続きます】