毎月、100万円近くが入ってきても、お金が足りない
息子がストレス解消のために通っていたという女性がいる店は、とても高額だ。通常なら1人数千円で済むところを、数万円はかかる。常連になるほど、誕生日イベントや、1本数万円のシャンパンの開封など、さまざまな出費をしてしまう。
「息子は見栄っ張りなので、お店の女性におごったり、店が終わった後に食事に連れて行ったりと、いろんなことをしていたみたいです。毎月、手取りで100万円近い給料が入っていたにも関わらず、全くお金が手元に残らない生活をしていたそうです」
息子は決して、欲望を制御できないタイプではない。むしろ自らを律して勉学に励むタイプだ。
「小学校の頃から頭がよく、県立高校から推薦で名門私立大学に進学。サッカー部で活躍し、就職氷河期の中、今の会社に就職した。28歳のときに結婚して、一男一女の子供もできて、絵に描いたような立派な人生だったんです。ウチには娘もいるのですが、優秀な息子の陰に隠れて、パッとしない。私たちが小言を言うと“アタシとお兄ちゃんは違うから”と、こうですよ」
現在40歳の娘は、専門学校在学中にダンスにハマり、30歳までをフリーターとして過ごす。今は2歳年上の夫とともに、東京の下町エリアで惣菜店を営んでいる。子供たちは公立の小学校に通っているという。
「勉強もできないし、いつまでも親に頼りっきりで恥ずかしいと思っていましたが、今となっては娘の方が圧倒的に金はかからないし、幸せだと思います」
【エリート息子は、自宅購入、そして子どもの中学受験で借金まみれだった。~その2~に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。