夫に事業の多くを任せた父
夫は、律子さんの祖父の代から続く不動産関連会社で働いているのかと思ったら、そうではなかった。
「父は当然、夫が自分の会社の後継者になると思っていたみたいなんですけれど、夫は変わり者で、大学卒業から定年まで公務員をしていたんです。“社会循環の一助になりたい”と言ったんですよ。変わり者ですよね……ウチの会社に来れば何倍もの給料を払うのに。ウチの両親にいろんなことを言われたので、助けてたまるか、って気持ちがあったのかもしれません」
ただ、夫は、律子さんのお父さんを、サポートしていたと言います。
「公務員だから副業はできないので、無償で行っていました。父も夫の有能さに舌を巻き、仕事の多くを任せるようになったのです。父が70歳くらいのときには、私に事業承継する素地ができていて、実質は夫が采配していたように思います」
律子さんと夫は信用で結ばれている夫婦だという。
「好きとか嫌いとかではなくて、信じているんですけれど、ここ半年くらいおかしい。帰宅時間を言わずに出かけたり、別荘にも足しげく通ったりして、変なんです。別荘は子供が大きくなってからずっと人任せにしていたのに。それに、私に対しても冷たい。私、ちょっとおっちょこちょいなところがあるでしょ? 昔だったら“しょうがないな”って笑ってくれたのに、今はチッと舌打ちするんですよ。信じられませんよね」
これは、別に女性がいる可能性が非常に高いと言えます。でも、夫が会社の実権を握っているのですから、心配ではないのでしょうか。私たちは会社の御家騒動の調査も多く、つい心配になってしまいました。
「それは問題ありません。印鑑は私が管理していますから。両親が夫のことを“あの人は優秀だけれど、最後の最後に決めるのは律子にしなさい”と言われたんです。だから、大丈夫だとは思うんですけど」
律子さんの娘に相談したところ、「それはパパ、彼女がいるんじゃない?」と言ったそう。
「娘はさばけた子で、どんなことでもあっけらかんと話すんです。“ママには黙ってたけど、私、10年前くらいにパパがラブホに入って行くのを見たんだよね”って言うんです。私、卒倒しそうになりましたよ!」
これはますます怪しい。浮気をする人は、何度も繰り返す傾向がある。
「この年ですし、浮気をしようがしまいが、夫とこれからも生きていくしかない。でも会社のことがあるので、証拠をお願いしたいのです」
【夫が会っていたのは、女性ひとりではなかった~その2~に続きます】
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/