父親の死去で、妹との関係性に変化が……

転勤により東京に引越した後は、前よりも家族と会う頻度は減るも、長男として連絡は密に取っていたそう。そこにはある理由がありました。

「父親に病気が発覚したんです。私が30代になった頃には父親は入退院を繰り返していたものの、ずっと仕事を休みながらも続けていたんです。父親は無理をするタイプなので、なかなか良くならない状態が続いて、私から頼み込んで早期退職してもらいました。そこからはより密に連絡を取るようにしていましたね。それに、父親が体調を崩した後から、妹とも密に連絡を取るようになりました。妹はまだ実家にいたので、父親が隠す体調の変化なども逐一報告してもらっていました。まさに連携プレーでしたね」

しかし、昨年、雄一さんが37歳の時に父親は亡くなってしまいます。父親がいなくなった直後は悲しみと孤独に苛まれ気付かなかった、ある壁に気づきます。

「父の葬儀が一通り終わるまではずっと気も張っていて、それは妹も同じだったと思います。それに妹は、私が昔経験した、肉親がいなくなって一人ぼっちになってしまう感覚もあったんじゃないかな。ふさぎ込んじゃって。式が終わって3か月くらいは一度も連絡を取りませんでしたね。その後、実家に一度戻った時、父親がいなくなった食卓はまるで会話がなくて……。正直、居心地の悪さを感じました」

そして現在、妹さんとは年に一度お墓参りで会うだけの関係性になっているそう。それについて雄一さんは「家族だけど、血の繋がらない微妙な関係というか、お互い大人で、そこまで無理に歩み寄る必要もないのかなと。話し合いで無理に家族だからと一緒にいることはやめようとなったんです。実家を処分して、遺産も折半しました。今は従姉妹みたいなたまに会う親族といった関係性ですね。居心地はボチボチです」と笑顔で語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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