取材・文/ふじのあやこ
時代の移り変わりとともに、変化していく家族のかたち。幼少期の家族との関係を振り返り、自身も子供を持つようになったからこそわかるようになった思いを語ってもらいます。~その1~はコチラ
今回お話を伺ったのは、大阪にあるIT企業でプログラマーとして働いている達也さん(仮名・40歳)。達也さんは大阪府の郊外出身で、両親と5歳上に姉のいる4人家族。姉とは異父姉弟ということを小学生の時に聞かされたものの、家族仲は知る前と変化を感じなかったそう。就職を機に家を出た達也さんは大型連休以外で実家に戻ることさえなくなったと言います。
「社会人になったこともあり、当時は本当にバタバタしていて、家族のことを思い出すことはまったくありませんでした。それに、姉は当時サービス業をしていて、大型連休も仕事のことが多かった。今みたいじゃなく、デパートも当たり前にお正月から開いていた時だったので。だから数年は顔を合わすことも、ましてや異性なので個人的に連絡を取ることもありませんでした。なにがきっかけで知ったのかは覚えていませんが、当時の携帯には姉の番号は入っていたけどメールアドレスは知りませんでした。そのくらいの関係性になっていたけど、そこに違和感はありませんでした」
祖母の葬儀で感じた親戚への嫌悪感。関わりたくないと強く思った
達也さんが社会人になって4年目に差し掛かった時期に母方の祖母が亡くなります。お葬式では初めて会った祖母の姉妹から心無い言葉をたくさん聞かされたそうです。
「男の僕には直接は言いませんよね。聞いたのは母親が言われているところです。祖母には姉と妹がいて、仲があんまりだったんでしょう。母親が結婚してすぐ離婚したことを『大変だった』という言葉を使って、遠回しに責めている感じでしたね。
式の間ずっと母親の隣にいた姉に対しても、わざとらしく執拗にかまっていました。ああいう場所って、大人の汚い部分が全部出ている気がする。僕ら家族は親族との付き合いがそこまである家庭じゃなかったので、小さい頃にこれを見ないで済んで本当に良かったとつくづく思いました」
その後、お姉さんが30歳の時に結婚、翌年には子供が生まれます。しかしその結婚生活は2年もたなかったと言います。
「僕の間隔でいうと、あっという間に別れたって感じですね。結局旦那さんとは、結婚式もしていないから親族との顔合わせと、1度お正月に見たくらい。姉が一人暮らししてから出会った人なので。離婚後には姉は一度実家に帰ってきたそうですが、1年ほどで実家の近くにアパートを借りて暮らしています。その間も僕も近くに住んでいたけど、実家に帰ることはあっても姉のアパートに行くことは一度もありませんでした。嫌いじゃないけど、今更仲良くなるわけないって思っていたのかもしれません」
【姉の結婚と離婚、そして自身の結婚。次ページに続きます】