母のように誰かに依存してしまうのが今も怖い

大学時代は定期的に帰省を求められてはそれに従い、就職も関東で行います。その後も同居することはなかったものの、どこかで母親のことを優先してしまう自分がいたとか。

「離れて暮らしているからこその心の余裕と、寂しさもあって、前よりも母親との関係は一旦は良好になりました。それにリアルに母親に対して老いというものを感じるようになって、前よりも強い態度で出られなくなってしまって。就職も、戻ってきてほしいと言われたので都内で就職を決めました。あんなに離れたがっていたのに4年でここまで気持ちが変わっちゃったことには私自身もびっくりしています(苦笑)」

晩婚になった理由も母親の影響が大きかったと振り返ります。

「結婚というか、男性に対していいイメージが持てなかったんです。あんなに優しい父も不倫をしていたわけで、母親は父の後も、家には連れて来なかったですが色んな男性と付き合っているようでした。別れそうになる度に、いかに男性は浮気する生き物なのかをずっと刷り込みのように言われていましたから。母親のせいだけではなく、私に魅力がないのもありますが、進んで異性と付き合いたいと思ったことはありませんでした」

今年結婚に至った理由は、母親との死別があったのだとか。

「がんになってしまって、手術などで2年ほど入退院を繰り返していたんですが、一昨年に亡くなりました。父は今も健在ですが、結局私とは正式なつながりは一切ありません。母親が生きていた頃には感じなかった孤独感が強くなってしまって、一時は落ち込みもすごくて仕事も辞めてしまった状態でした。そんな私の姿を見かねて、友人が紹介してくれた男性が今の夫です。今結婚はしていますが、別々に暮らしています。なんとなく自分も母親と同じく誰かに依存してしまうのが怖くて。一緒に暮らさなければ自分を自制できると思ってしまっているんですよね」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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