母親の死で崩れた家族関係。絶縁を選んだ理由は、真ん中の妹を救いたかったから

勇人さんは30歳の時に結婚。そして真ん中の妹も28歳になりますが、父親と下の妹の世話があり、いつまでも実家で生活を続けていたそう。

「妹たちについて色んな感情があります。真ん中の妹には苦労をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。父はまだ働いていたから、家の世話をほとんどしていて、さらには自分の稼ぎを生活費に充てていました。僕も毎月数万円ですが、援助していたんです。でも、お金を渡すことが助けになるのか、一番下をさらに甘えさせる行為になってしまうのかの葛藤もあって。なぜ働かないのか、なぜ父親は何も言わないのか。そのことで何度も父親とぶつかったこともあります。父親は『今は』という言葉を使って、一番下が自ら動いてくれるのをひたすら待つんです。そんな主体性があるならこんなことになっていないと、いくら言っても聞く耳を持ってくれませんでした」

そして、今から2年前、勇人さんはある決断をします。

「父親、そして一番下の妹との絶縁です。僕はまだ大丈夫だったんですが、真ん中の妹を救うためにはこれしかないと思いました。最後に家族で話し合いの機会も持ったんですが、それでも働こうとしない、それでも妹の肩を持つ父親が変わってくれることはなかった。真ん中の妹はずっと付き合っている人がいるのに結婚をためらっている感じでしたし、僕も今は平気でも将来嫁にも負担がかかるようになることが目に見えています。冷酷な判断かもしれないけど、親族であっても無償で助け続けることが絶対に正しいことだとは思いません」

その後、真ん中の妹さんは付き合っていた男性と結婚。現在は関西で生活していると言います。勇人さんの家も子供に恵まれています。現状についても2年前から変わっていないそう。

「一番下の妹には、父が亡くなった時に他にも助けてくれる人がいるとは絶対に思わせたくない」と決意を口にします。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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