姪が転がり込んできてから、この3年で、良好だった夫婦関係が悪化
昌代さんの話を伺っていると、姪が疫病神のようにも感じてしまう。
「そうですよ。まさに疫病神。家賃の6万円、差し入れのお米1万円、そのほか、姪の娘のランドセルを買ったりしています。夫は別途小遣いを渡しているみたい。姪は愛想がいいから、女性に免疫がない夫はコロッといってしまった。これにより、夫婦の関係は悪くなりました。夫はもともとモラハラっぽいところがあって、私が姪に対して批判めいたことを口にすると、ドアをバンと閉めたり、畳んであった洗濯物を気付かないふりをして蹴散らしたりする」
直接手を上げられることはないが、夫から暴力的な態度を取られると、昌代さんは「私が悪かったのではないか」と自分を責める。そしてますます夫は増長する。
「このことを誰にも相談できないのも辛い。それに、相談したところで“自分で蒔いた種でしょ”と言われるに決まっている。それに、“あなたたちは子供を育てていないから、そこで苦労するようになっているのよ”などと言われては立ち直れない」
ただ、救いがあるとすれば、姪に作為も悪意もないことだ。
「自分が得して楽をすれば、それ以上のことはしない。例えば私を追い出して、自分がここの家主になろうとかは考えていないし、考えられない」
今、昌代さんが考える最悪の事態は、姪が小学校1年生の娘を昌代さん夫妻のところに置いて、連絡が取れなくなってしまうこと。
「これを一番避けたいですよね。あの子から、“ママはどこにいるの?”と聞かれて答えられないとか、反抗期を受け止めるとかは、絶対にできない。あとは、学費を払わされること。妹や姪からすれば“あなたは稼いでいるし、年金もがっぽりもらっているからいいじゃない”と言われ、依存されることは避けたい。でも、最近は、そんな未来が待っているような気がするんですよね。その前に姪が再婚するなどして出て行ってくれることを祈っています」
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。