病院へ行きたがらない母親を説得してくれたのも兄。母親はとにかく兄が大好きだった

陵子さんは短大へ進学し、その後、大阪の企業で事務の仕事を始めます。実家から通うも、お金が貯まったら一人暮らしを始めようと計画していたそう。しかし貯金が貯まった矢先、母親の病気が発覚します。

「就職してすぐに一人暮らしを始めたかったのですが、お金がなくて。就職した後だったから親の援助はもちろん期待していなかったので、実家から数年通って貯金を貯めるつもりでした。2年ほど勤めて貯金が貯まってきた頃、母親が足の痛みを訴えて、歩き方がおかしくなっていったんです。でも、母親は歩き過ぎただけとか、色々な理由をつけて病院を拒否していました。父親も一緒に説得してもらっても効果なし。その時に久しぶりに兄に電話をしました。兄は大学時代は盆と正月には帰省していたけど、社会人になってからまったく帰ってこなくなっていたので、会話さえも久しぶりでしたね」

お兄さんの説得により母親は病院へ。そしてすぐに手術をすることになります。

「母親は股関節の軟骨がすり減って神経を痛めている状態で、その部分に金属を入れる手術をすぐにすることになりました。手術自体はそこまで難しいものではなく、入院も4か月ほどの入院、半年ほどのリハビリで退院できたんです。でも、その後に家で転んでしまい、手術した金属とつながっている骨を複雑骨折してしまって……。長期入院を余儀なくされました。そして、二度目の入院の時に兄が見舞いに来たんです。でも、兄はすっかり変わった姿に変わっていて……」

久しぶりに見た兄の姿に家族は絶句。母親が拒否したことで家族は一度バラバラになってしまい……。
~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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