八雲も使った!? 明治時代の「中身入り」インク瓶が現存

橘泉堂山口卯兵衛商店は、1908(明治41)年11月より松江市内に歩兵第63連隊が駐屯を始めたことで、大きく隆盛しました。

「曽祖父は、その未来を見越していたのでしょうか。薬、お酒、医療機器、舶来商品など多種多様なものを扱いました。1945年の終戦で、人も土地のほぼ全てを失い、お店は大打撃を受けたのです。その後は、今のドラッグストアのような品揃えで、松江の人々の暮らしとともに歩んできたのです」

橘泉堂山口卯兵衛商店の蔵で見つかった、明治40年代と推測される引き札(チラシ)。ドイツ製メガネ、西洋酒、西洋石鹸、舶来染粉、絵の具、化学薬品などの記載がある。
大正時代、『カブトビール』の宣伝の様子。看板の左に外国人が描かれているが、そのモデルが小泉八雲ではないかと言われている。
蔵で見つかった明治時代の中身入りのインク瓶。これと同じものを使い、八雲も執筆していたのだろうか。
現代の主力商品である漢方薬。右から、当帰や紫根等の天然素材のみを材料とした傷薬『潤肌膏』(540円)、漢方処方の代表的な煎薬である『葛根湯』(10日分2750円)、その他症状に応じた煎薬を処方。

時代とともに規模を縮小し、今は雑貨店を併設した漢方薬専門の薬局となり、店舗の一部を『まちかど博物館』として、店の蔵から見つかった珍しい品々を展示しています。

「庶民の文化というのは、時代の波にさらわれて、忘れ去られてしまいます。政変や戦争など大きな事件があっても、庶民はひたむきに、必死で暮らしを営み続けていた。私たちはその連綿とつながる時代の流れの一部にいるのです。この暮らしの形を伝えたいと思い、お店の一部を使い、季節ごとに展示を行っています。

これからのテーマは五月人形。大正期に作られたお飾り、食器や漆器を通じた食文化など、松江の暮らしがわかる展示で、皆さんをお待ちしております」

橘泉堂山口卯兵衛商店
住所:島根県松江市末次本町34
TEL:0852-21-2700
Instagram

取材・文/前川亜紀
写真/橘泉堂山口卯兵衛商店(現:山口薬局)
参考/先駆者たちの物語(サントリー)コニシ「沿革」

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