三条天皇と敦明親王の悲劇
I:さて、道長ほか公卿らの圧力にさらされた三条天皇ですが、譲位して出家して崩御という流れになりました。
A:嫡男の敦明親王を東宮にする条件で譲位をした三条天皇ですが、道長の圧力に屈した悲劇の帝ということになりますね。
I:さて、三条天皇の譲位を受けて、道長の孫の敦成親王が即位します。高御座がこんなに出てくるドラマってすごい。中国皇帝風の冕冠(べんかん)とか赤い袞衣(こんえ)は、一条天皇(7歳時点/演・柊木陽太)即位時同様に登場しました。そして、私が特に印象に残ったのが、幼い後一条天皇の後ろに控えた道長が、まるで「ささやき女将」のように、政務の指示を出していたことです。
A:後一条天皇が即位して、道長は摂政となったのですが、幼い天皇を補佐するという摂政の職掌をわかりやすく説明してくれる演出になりました。摂政と関白の成り立ちなどは、そのまま「藤原氏の権力興亡史」と直結するのですが、幼い帝の補佐は摂政、成人した後は関白という仕組みが整ったのは、道長の曾祖父の忠平の時代と言われています。
I:道長の曾祖父忠平ですか。平将門が家人として仕えた貴族ですね。
止まり木に立ち寄る道長
I:そういえば道長がまひろのもとをふらっと訪ねる機会が増えました。自邸の土御門第に皇太后彰子(演・見上愛)が住まうようになったので立ち寄りやすいということはありますが。まひろの局はまるで止まり木のようですね。
A:昭和風にいうと、「小料理屋まひろ」「スナックまひろ」のような感覚なのでしょう。職務のストレスをクールダウンする場がまひろの局であったという風に思うと、道長の苦悩もいかばかりかと、権力者も大変だと思ってしまいます。
I:そして、道長とまひろが会話をしているところに、正妻の源倫子が割って入ってきます。ふたりが何を話しているのか問う倫子に対して、道長は「政(まつりごと)の話だ」と言ってしまいます。またも「どの口がいう?」です。
【かなり年下の甥に入内する威子。次ページに続きます】