原爆裁判で「原爆投下は国際法違反」と明言

昭和27年(1952)、名古屋地方裁判所にて晴れて初の女性判事に。昭和31年(1956)、裁判官の三淵乾太郎(けんたろう、初代最高裁長官・三淵忠彦の長男)と再婚。お互いに連れ子のいる再婚でした。和田姓から三淵姓になり、同年、東京地裁判事に就任します。

東京地裁では「原爆裁判」を担当。広島と長崎の被爆者が、損害賠償と原爆投下を国際法違反とすることを求めて提訴した裁判です。昭和38年(1963)12月7日、主文は被爆者への賠償を認めませんでした。けれど最大の争点、国際法について、こう指摘します。「広島、長崎両市に対する原子爆弾による爆撃は、無防守都市に対する無差別爆撃として、当時の国際法から見て、違法な戦闘行為であると解するのが相当である」。

日本の裁判所で初めて「原爆投下は国際法違反」と明言し、政府に被爆者への支援策の実現を強く促しました。裁判官は多くが異動などで交代しますが、嘉子は唯一、第1回の弁論から結審までを担当し、裁判長・古関敏正、判事・高桑昭とともに、この歴史的な判決文を書き上げたのです。

「家裁の育ての母」ともいわれ、退官後も活躍。次ページに続きます

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