共演者の皆さんの役名と扮装写真がどんどん発表されている中、茶々がなかなか明かされなくて「早く発表してくれ~」と思っていました(笑)。やはり不安だったんですよね。「こんなの私たちが知ってる茶々じゃない」とか、「別の役者さんが演じる茶々が見たかった」とか……視聴者の皆さんは放送をどうご覧になるだろう、受け入れて貰えるだろうかと不安に思っていました。なので、茶々の登場シーンが放送されて、視聴者の皆さんから反響を頂けた時はとてもほっとしました。
A:このくだり、活字にしてしまえば意外にあっさりですが、同じ話を11月27日にNHKホールで開催された『ファン感謝祭 みんなのおかけじゃ』ではユーモアたっぷりに語っていました。北川さんのお人柄がにじみ出る名場面です。12月17日に放映されるそうなので、必見ですね。
I:内緒にしているのに耐えきれずに、秀吉役のムロツヨシさんに「私、茶々なの」と打ち明けたというエピソードですね。
A:いわれたムロさんもびっくりしたそうですよ(笑)。さて、北川さんの話は、茶々の人物像に展開されました。
茶々は多感な時期に、目の前で沢山の大切な人たちを失ってきました。皆がどんな無念な思いで散っていったかを感じていたからこそ、その雪辱を果たしたいという強い責任感を持っていたと思います。
一般的には「悪女」と言われることも多いですし、今作でも何を考えているか分からない恐ろしさが目立っているかもしれません。でも私は、真っ直ぐな人だと思っています。
茶々の心の中には、母市の前で立てた「私が天下をとります」という誓いがずっと残っていて、母を裏切ることのないよう、生き残ろうと頑張ってきたと思います。自分が生き残ることによって、織田と浅井の血を後世に残すことができる。家族のことを思うと、自分はなんとしても生き残らなければならない。でも女性である以上は自ら天下をとるのが難しいので、息子を立派に育て上げ、両親や叔父の無念を豊臣家で果たすという……。ある意味ピュアですし、家族のことも凄く大切に思っていた人。真っ直ぐ、猪突猛進に、戦国を生き抜いた人物と捉えて演じてきました。
茶々としては、当初は殿下のもとで暮らすのは複雑な思いもあったと思いますが、幼い頃に引き取って側に置いてくれたご恩もありますし、豊臣家のことも徐々に自分の家だと思えるようになったのではないかと思います。そして息子を立派に育て上げて、息子が天下をとることが、殿下を含めた皆の雪辱を果たすことにもなりますし。秀頼に自分を重ね合わせていたのかなと思います。
I:演じる人物のことをしっかりグリップしながら演じていたことが伝わってきますね。秀吉のもとで暮らすというのは確かに複雑な心境だったと思います。さて、北川さんは『どうする家康』の最期を飾る大坂の陣について言及しました。
茶々としても織田、浅井そして豊臣の誇りを最後まで持ち続けたいと思いますし、秀頼も立派に戦い抜きます。史実は変えられませんが、最後の一瞬まで豊臣家がどのように戦い抜くのか、ぜひ注目していただけたらと思います。今までの大河ドラマでは描かれてこなかったような我々の最期になっているんじゃないかと思います。最後までぜひ楽しんで下さい! よろしくお願いいたします。
A:いったいどんな大坂の陣が描かれるのか。楽しみですね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり