簡単に作れる自家製なめ茸(たけ)。晩酌の楽しみも増える。

簡単に作れる自家製なめ茸(たけ)。晩酌の楽しみも増える。

茸(きのこ)の季節である。今の時季にしか味わえない、松茸をはじめとする天然物の茸の味は格別だが、年中手頃な価格で購入できる栽培物の茸も、捨てたものではない。というのも最近、1パック100円もしない安価なエノキタケを使った、自家製なめ茸の作り方を覚えたからだ。

なめ茸といえば、店で購入するのが常。家庭で作れるものという発想がなかった。しかし、挑戦してみると意外と手間がかからない。その上、自分好みの味に調整できる。豆腐の上にのせてよし、おろし大根と和えてもよし。あっという間に酒肴(しゅこう)が完成するのがいい。

ご飯と一緒に炊き込んだり、蕎麦やパスタなどの麺類と和えたりしても美味しく、応用範囲は広い。

作り方を紹介しよう。鍋に醤油(しょうゆ)と味醂(みりん)を大さじ4ずつ加えて、中火にかける。煮立ったところへ、ざく切りにしたエノキタケを2パック分入れて、満遍(まんべん)なく火が入るように混ぜ続け、とろっとするまで煮つめる。たったのそれだけで完成だ。

粗熱(あらねつ)がとれたら煮沸消毒(しゃふつしょうどく)した保存瓶に移し替える。3、4日で食べきるのが安全だが、ビニールのジッパー付き保存袋に入れて冷凍保存すれば、1か月ほどもつ。

ちなみに、天然物のエノキタケはカサが大きくて軸(じく)が短く、色も全体的に茶色い。これに対して、栽培物は暗い室内で生育するため、もやしのように長くて白い。

最近では「ブラウンエノキ」という名称で、茶色い栽培物も店頭に並んでいる。光を当てて栽培すると、色が付くという。ブラウンエノキは白いエノキタケに比べて歯ごたえもしっかりしており、野性味がある。なめ茸はどちらでも美味しくつくれるので、好みに応じて選びたい。

写真・文/大沼聡子
※本記事は「まいにちサライ『食いしん坊の味手帖』」2013年10月7日掲載分を転載したものです。

 

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