昆布の旨みをきかせたイクラの醤油漬け。味が馴染んだら冷凍保存も可能。

昆布の旨みをきかせたイクラの醤油漬け。味が馴染んだら冷凍保存も可能。

イクラの醤油漬けだけは作る

この時季に魚屋に足を運ぶ楽しみといえば、イクラです。

といっても、粒状になったものを買うのではありません。鮭の腹からそっくりそのまま取り出した、生筋子を探します。ぷっくりとした粒を薄皮から剥(は)がしてほぐし、醤油漬けを作るのです。

いつもは料理をしない人でも、「イクラの醤油漬けだけは作る」という人も少なくないようです。しかも、各々に自分流の作り方があるようです。

まずは、イクラのほぐし方。よく聞くのは、塩を溶かした湯の中で、薄皮から手で卵を丁寧に外していくというやり方。けれども、時間がかかる上に、湯でイクラが温まってしまうのが気になります。そこで薦めたいのが、格子状の餅網を使ってほぐす方法。薄皮に貼り付いている卵の粒々を金網に擦り付けるだけで、面白いほど粒がポロポロと外れます。卵が潰れそうに思えますが、意外と丈夫なもの。300gほどの生筋子ひと腹なら、5分足らずでバラバラに。それを塩水を張ったボウルにあけ、浮いてきた細かい薄皮などを取り除き、一度真水で洗い流してザルで水をきれば、作業完了。

そうやってほぐしたイクラを漬け汁に漬け込みます。使用する調味料にもまた、配合に十人十色の工夫があります。筆者の場合は、まず、300g前後のイクラに対して、小鍋に3cm角程度の昆布、酒、味醂(みりん)各大匙1を入れてひと煮立ちさせ、アルコール分を飛ばします。冷めたら醤油大匙2を加えて、漬け汁の完成。そこにさきほどのイクラを浸し、冷蔵庫で数時間、味を馴染(なじ)ませればできあがりです。

市販品はやや値が張ってしまうが、生筋子ならその半額以下。なにより、自家製は好みの味にできます。いくら丼やちらし寿司、大根おろしにのせて酒肴(しゅこう)に……と活躍します。たっぷり作って冷凍保存しておくのがお薦(すす)めです。

文/大沼聡子

 

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