保存版！京都人が通いつめる「ふだん遣いの美味処」10軒

■5軒目：酒場 井倉木材　京都市上京区
――旨いものを知り尽くした客が集う立ち飲み店
推薦人／佐藤弘樹さん（ラジオ・パーソナリティー）

手前は、かにみそのルイべ800円。奥は自家製オイルサーディン700円。大羽 （大振り）な鰯が入ったときだけ仕込むという料理。日本酒は１合600円～。

「立ち飲みと侮るな」と常連は言う。ポテトサラダやするめ天など昭和の香りがする居酒屋料理も並ぶが、割烹にも引けをとらない旬の味に出会えるのがこの店。

脂ののった大振りの鰯は、香草や香辛料を加えた油に漬け込みオイルサーディンに。カニ味噌は身と混ぜて凍らせルイべにするなど、酒飲みのツボを押さえた仕事を施す。新鮮な鰹やウニは造りで、肉厚しいたけは炭焼きにと、素材を生かす。初めての客は、簡素な店構えと料理の差異にまず驚き、酒肴づくりの巧みさに翻弄される。

町中からは少し離れた場所にあるにもかかわらず、夜な夜な酒飲みたちが集い愉しむ。

『井倉木材』という店名が表すように、本来ここは材木業を生業としてきた家。だが、４代目の井倉康博さん（40歳）は飲食業を営む夢を捨てきれず、家業を継ぎながら夢も叶えようと５年前に夜だけの立ち飲み屋を開店したのだ。３畳の事務所を改装してカウンターにし、駐車場を店舗にした。

推薦人の佐藤弘樹さん（59歳）は、「最近なぜか、この店に足が向いてしまう。恰好より中身が勝負と思えるようになったからかもしれない」と言う。料理を引き立てる希少な日本酒が揃うのも、佐藤さんのような旨いものを知る客を呼ぶ理由のひとつだろう。

店内に入れるのはせいぜい７～８名だが、秋風の吹く店外で飲むのもまた一興。

【酒場　井倉木材】
京都市上京区薮之内町77-1
電話：なし
営業時間：17時～22時30分（最終注文）
定休日：日曜、祝日
料金：1500円～
立ち飲み席。

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