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増田拓実さん(32歳)
埼玉県出身。高校の調理科を卒業後、山梨の料理旅館でカウンター天ぷらを立ち上げたのを契機に天ぷらに開眼。2022年埼玉県春日部で独立、24年に神楽坂へ移転。

【東京 神楽坂】てんぷら拓

威風堂々たる天ぷらを揚げる主人の一軒である。もともと和食の料理人だった店主の増田拓実さんは、シンプル故に難しい天ぷらの魅力に開眼。夜な夜な自主練習に励み、4年前に地元の埼玉・春日部で独立。2年前に東京・神楽坂に移転すると間もなく評判となり、天ぷら好きが集まる一軒になった。

増田さんがとりわけ研究を重ねたのは、天ぷらの要である衣だ。

「特徴は、炭酸水を使っているところです。生地の濃度はしっかりあるのでいわゆる薄衣とはまた違う、繊細なツノが立ったサクサクと軽やかな衣になるんです」

炭酸が抜けてしまうので、1〜2品ごとに新たに作り直すという手間のかかる衣で、薄力粉はやはりふわりと軽やかな福岡産の地粉を使っている。

「さらに油に入れるときにすっと滑らせるか、叩き入れるようにして衣を散らすかで、衣のつき方は変わってきます。素材に合わせて衣に変化をつけています」

肉厚で旨みの濃い天種を使う

軽やかだが存在感のある衣で包むのは、旨みと食感の醍醐味たっぷりの力強い食材だ。

まずは車海老。普通の天ぷら店では小ぶりな海老を2尾つけることが多いが、この店ではひとまわり大ぶりな海老をどんと1尾。ぷりっとした食感を生かすように関節を伸ばさず、文字通り海老反りさせるようにして揚げている。当然、旨みも香りも濃厚だ。

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車海老
大きめの車海老を使用。海老反りになった身は弾力たっぷり。人肌に温もった中心は程よくレアで、濃厚な海老の甘みが溢れる。

「魚介は生きた状態で使うものと、店で寝かせるものがあります。海老や穴子は活き、キスやアオリイカは数日熟成させて、旨みや食感を凝縮させています」

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キス
肉厚な江戸前キスを5日間ほど寝かせることで、ふっくらとした食感に。繊細な身から旨みが逃げないように皮目を上にして揚げる。
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アオリイカ
夏が旬のアオリイカは2日間ほど寝かせて、ねっとりとした食感と旨みを引き出す。別添えの梅ポン酢でさっぱりと食べるのもよい。

野菜もしかり。まるまるとよく太った椎茸からは旨みのジュースが溢れ出て、花弁を開かず丸のまま揚げるふきのとうは、力強い香りと苦みを封じ込める。

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椎茸
見た目にもインパクトたっぷりの身厚な椎茸は、岩手のブランド「禅丸」のもの。ギュッと詰まった身質で旨みが強く、上品な香り。
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ふきのとう
見映えよりも香りを優先して、ふきのとうは開かずに蕾のまま揚げる。小ぶりの身にかぶりつけば香りと苦みが弾け出る。4月まで。
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たらの芽
瑞々しい茎はホクホクと、葉の部分はもしゃもしゃとした食感が楽しめる。香りが飛ばないように、低温で火を入れる。4月まで。

軽い炭酸衣と弾ける旬の味わいがクセになる、貫禄の天ぷらだ。

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魚介は豊洲から仕入れる。キスは希少な江戸前、身の厚さと香りが違う。山菜は長野や東北から直送の天然物が中心。身厚な椎茸は岩手から。
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締めは天丼か天茶を選べる。どちらも芝海老と三つ葉のかき揚げがのる。天丼は卵黄の醤油漬けが添えられ、卵かけご飯のように楽しめる。
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てんぷら拓

住所:東京都新宿区神楽坂3-1 KARUKOZAKA PLACE501 
電話:070・8934・7269 
営業時間:18時〜の一斉スタート、土曜は12時〜もあり
定休日:日曜 
交通アクセス:JR・東京メトロ飯田橋駅B4出口より徒歩約4分
◎コース2万2000円、要予約。 

取材・文/渡辺菜々緒 撮影/邑口京一郎

※『サライ』2026年5月号より

5月号の大特集は『天下人の城』

 

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