当日限りのおいしさは自分へのご褒美、大切な人への贈り物に格別です
●川田裕美さん(アナウンサー)

「豆大福がある、と聞くだけで、心の中で踊りまくっています」
破顔一笑する川田裕美さんの目の前にあるのは『松島屋』の豆大福。大のあんこ好きで、数多の豆大福を知り尽くす川田さんイチ押しの逸品である。川田流豆大福の味わい方は……。
「豆大福は自分を褒めてあげたいときに食べるご馳走です。なかでも『松島屋』はとっておきのご褒美。まずはその姿をじっくりと愛でて、ご主人の心意気や作業の数々に思いを馳せます。そしてゆっくりと頬張ります。
皮の柔らかさ、えんどう豆の塩加減、その塩加減で引き立てられる餡のおいしさ。さらに豆のほどよい固さと柔らかな皮や餡との食感の対比も感じながら、数回に分けていただきます」
豆大福のおともは水か白湯と決めている。
「余計な味がないので主役である餡の味をしっかり楽しめますから」
ごろり大粒赤えんどう豆、弾力ある餅、つぶし餡の三位一体

でこぼこが旨さの秘訣
朝早くから店外に漂ってくる小豆の香り。店の奥の工房からは、とん、とん、と杵が餅をつく音が聞こえてくる。工房の中は、蒸籠や小豆釜の湯気が立ち込める。
『松島屋』の朝は早い。最も早い職人は夜中の2時から下準備を始めているという。店主の文屋弘さん(66歳)も朝4時には餅を蒸してつき始める。朝9時半の開店までに1000個ほどの大福や、みたらし団子などを作る。開店前には数十mの行列ができている。

近隣の高松宮邸をご訪問された昭和天皇も召し上がられたことで知られる『松島屋』の豆大福だが、そうした“逸話抜き”で、旨い。
大福の形をいびつにするのは、北海道産赤えんどう豆。歯応えを残して蒸し上げたものを、つき上がった餅の中に投入し、文屋さんが急いで混ぜ合わせる。時間との勝負だ。餅が固くならないうちに丸めておいたつぶし餡をどんどんと包んでいく。赤えんどうの風味、甘さ控えめの餡、しこしことした餅がバランスよく同居する。朝から行列しても食べたい、それが“松島屋の豆大福”なのだ。


住所:東京都港区高輪1-5-25
電話:03・3441・0539
営業時間:9時30分〜15時
定休日:日曜、月に2回月曜(不定)
交通アクセス:都営浅草線ほか泉岳寺駅から徒歩約5分、都営三田線ほか白金高輪駅から徒歩約8分
(川田さん)取材・文/武内しんじ 撮影/湯浅立志
(松島屋)取材・文/平松温子 撮影/泉 健太
※この記事は『サライ』本誌2026年2月号より転載しました。












