
塩・豆・フルーツ三ツ巴 天下三分の大風雲! もっちりふっくらの餅で餡を包み込む。つぶ餡、こし餡、フルーツと多彩な「大福」でお腹を満たし、縁起も担ぐ、いざ一服。
浪曲師 玉川太福大福の発展唸り候
●浪曲師 玉川太福(たまがわ・だいふく)

「大福三ツ巴合戦の巻」
餅と餡とが寄り添えば、腹を満たして心満つ「大福餅」の出番。
〽塩 豆 フルーツ 三家の大福
味比べぇ これぞ三ツ巴なる合戦記
時間来るまで 努めましょおぉ
序 大福誕生
ときは江戸の中期。お江戸・小石川にて餡を餅でくるみ、腹持ちよしの甘味が誕生。「腹太餅」「大腹餅」と呼び……。
〽はじめは“腹”の 字を使いぃ
いつの間にかぁ 縁起よい
福の字にぃ できたぁ
福を大きく 抱く“大福ぅ”
この大福がやがて3つの軍に枝分かれ、味を競わす戦の世に。
第一場 塩大福軍
甘さ引き立てるはひとつまみの塩。この信念を掲げたるは、切れ味鋭い「塩大福」。
〽潮の香りの白き肌 塩の冴えこそ
命なり 塩きらめき 甘さ照るぅ
砂糖は貴重な時代。ゆえに餡に塩を効かせた「塩大福」が台頭す。令和の現在、「塩大福」の定義はあいまいで……。
〽餡に塩 ないしは餅に塩合わせ
まぶすところは
店主の意向でさまざまにぃ
第二場 豆大福軍
餅に豆を加えて食感を。噛めば噛むほど旨み出る。豆大福の誕生も江戸のこと。もとは節分、邪気を祓い福を呼ぶための、“福豆”にちなむ。節分の後、福豆が余り、餅に用いたとされる説が有力で。
〽今も2月は 立春大吉に
大福食べては 縁起かつぎぃ
それを 立春大福と呼ぶぅ
第三場 フルーツ大福軍
いちごにみかんと風香る、瑞々しさを抱きし餡を従え闊歩する。口に広がる季節の表情、争うよりも魅せましょう。
果物を餡と餅で包む「フルーツ大福」の誕生は昭和の御世。バブル前夜の東京。はたまた三重かと意見は分かるるが……。
〽東京は 既存のぉ 豆大福に
いちごを 丸々ひとつ 入れてぇ
西の三重では 余った大福に
いちごをのせてぇ なぜか同時期
大福といちごを合わせること勃発ッ
今や旬に応じてシャインマスカット、いちじくなど、さまざまフルーツを包まれり。小豆餡に白餡、マスカルポーネと装いもよりどりみどり。
〽お茶だけなんて もったいないぃ
コーヒーはもとより ウイスキーに
ワインとお酒もオーケー ほろ酔い
加減で 心もお腹も満たしますぅ
ややや、大福三者が揃う“令和の大福合戦”は今や絶頂、大盛り上がり。いざ、塩大福軍は控えめながらも中心に、豆大福軍は食感重視を謳い、フルーツ大福軍は香りを放ち……。
〽三者三様三ツ巴え〜 三つの大福
肩並べ ニッポン国に福が咲くぅ
はたして勝つのはいったい誰か⁉──
ちょうど時間となりました。大福3つの合戦譚は本日これにて。おあとを、お愉しみに。
取材・文/山﨑真由子 撮影/藤田修平 協力/浅草木馬亭
※この記事は『サライ』本誌2026年2月号より転載しました。












