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素朴な餅の風味と、小豆の甘さを塩が引き立てる。塩大福240円。

石臼と杵でつく、なめらかな餅で砂糖を使わぬ餡を包む

塩大福とは餡や豆に塩を効かせたもので、砂糖が貴重な時代に盛んだった。『栄屋菓子舗』は創業から100年以上変わらぬ作り方で真摯に塩大福と向き合っている。

もち米が蒸し上がると作業場に湯気が満ち、一面視界不良となる。視界が晴れる間もなく、石臼で餅をつき始める。機械で動く杵のタイミングを計りながら、返しは直接手を入れる。

「熱いうちに餅を丸めないとシワができてしまうので、熱との勝負です」というのは、家業を継いで33年、3代目の山崎宗美さん(53歳)だ。つきたての餅は火傷するほど熱く、宗美さんの指紋はほぼ消えている。

「桶川も含め、埼玉県北部から東部あたりでは“塩あんびん”と呼ぶことも。あんびんとは大福のことを指し、砂糖が貴重な時代、塩を入れたことが祖となります」と宗美さん。材料はもち米と小豆と塩のみ。ほのかな甘さが立つ。

餅屋ならではの塩大福

シンプルゆえに味はごまかせない。日々素材を吟味し伝統の技で作り続けられる塩大福。

とりわけ際立つのが餅の旨み。適度に弾力があり、もち米の風味が漂う。それが塩餡と合わさると、砂糖が入っていないのにほんのりと甘みを感じるから不思議だ。

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もち米は千葉県産のヒメノモチを使用。石臼で手返ししながらついていく。手返しすることで状態が確認できムラなく仕上がる。

「うちの餅は翌日には固くなります。固くなったら焼いて召し上がってみてください」(宗美さん)

当店の餅は評判で全国から注文が舞い込み、正月用の注文に応じるために、年末は多いときで5俵(約300㎏)もつくという。

「うちは餅屋なんです」と由則さん。そのおいしい餅で包まれた、名物の塩大福を求めに、遠方から客が訪ねてくる。

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2時間煮て水分を飛ばした小豆に塩を投入。小豆は北海道産。
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塩餡はしっかり冷ましてから使う。餡をつきたての餅でくるむと完成。
店には宗美さんの祖父、創業者の修業時代の姿が飾られる。

もち米と小豆と塩だけのシンプルな味を召し上がってください。

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山崎由則さん・宗美さん(和菓子職人)
宗美さんは、20歳で大正13年(1924)創業の家業を継いだ。システムエンジニアだった由則さんは、友人の結婚式で宗美さんと知り合い結婚、和菓子職人となり26年目。

住所:埼玉県桶川市南1-7-1 
電話:048・771・1222 
営業時間:9時~18時30分 
定休日:火曜、水曜 
交通アクセス:高崎線桶川駅東口より徒歩約3分

取材・文/宇野正樹 撮影/齋藤 明

※この記事は『サライ』本誌2026年2月号より転載しました。

2月号は大特集『謎解き「豊臣秀吉」』

 

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