どこから出てきたのか。足軽あがりのその者には稀なる才が宿っていた。その才を持って、民草(たみくさ)から天下人へと駆け上がった、日本史上ただひとりの男。豊臣秀吉。その謎に満ちた生涯を、解き明かす。今回は豊臣一門と家臣団の城をご紹介。

竹田城(兵庫県朝来市)

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雲海に浮かぶ竹田城。古城山(虎臥山)の山頂に天守台(画面中央)をはじめとした各曲輪の石垣が連なる。写真/田中重樹・アフロ

雲海に浮かぶ姿から「天空の城」として著名な竹田城は、当初は15世紀半ばに築城された城ですが、豊臣政権の時代になると生野銀山を守るための城として重要視され、秀吉の家臣で竹田城主となった赤松広秀によって大改造されたと考えられます。それが現在残されている壮大な石垣群です。山城に築かれた石垣としては全国屈指の規模で、本丸に構えられた天守台は山麓の城下から見上げると正面にあたり、まさに権威を示すためのシンボルでした。

住所:兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169
電話:079・674・2120(情報館 天空の城)
開館時間:入城時間は季節により変動
料金:500円
定休日:1月4日〜2月末は冬季閉山のため入城不可。悪天候時など
交通アクセス:JR竹田駅より徒歩約40分または竹田駅より「天空バス」で竹田城跡中腹駐車場下車、徒歩約20分

熊本城(熊本県熊本市)

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画面右端の石垣は加藤清正時代、その左の石垣はその後の拡張部分で、石垣の勾配や積み方が異なることから「二様の石垣」と呼ばれる。画面奥の本丸に大天守が聳える。写真/イメージマート

熊本城は秀吉子飼いの武将の加藤清正が築いた城です。清正は勇猛な武将であると同時に秀吉の城づくりを支えた技術官僚、築城名人でした。

清正は慶長の役(第二次朝鮮出兵)で、自らが設計した蔚山城を明と朝鮮の大軍に囲まれて水不足に苦しみます。朝鮮から帰国後に築いた熊本城に100以上の井戸を設けたとされるのは、その経験を活かしたもので、熊本城の堅固な石垣も清正の実戦での学びが反映されているものです。

住所:熊本市中央区本丸1-1
電話:096・352・5900(熊本城総合事務所)
開館時間:9時~17時(最終入園は16時、天守閣最終入場は16時30分まで)
料金:800円
定休日:12月29日、悪天候時など
交通アクセス:JR熊本駅より熊本城周遊バス「しろめぐりん」で熊本城・二の丸駐車場下車すぐ

広島城(広島県広島市)

広島城天守。昭和33年に鉄筋コンクリート造りで外観復元。コンクリートの劣化などの問題から安全面を考慮し、令和8年3月22日に閉城(天守内部の観覧不可)となる。写真/山口博之・アフロ

天正16年(1588)に秀吉に臣従した毛利輝元は、翌年より広島城の築城にとりかかります。毛利氏の聖地・吉田郡山城を廃してまで新しい城を築いたのは、上洛の際に見学した秀吉の聚楽第や大坂城を見て大いに感化されたと考えて間違いありません。実際に広島城の縄張は聚楽第に倣ったもので、長方形の巨大な本丸に立つ天守の位置も聚楽第と同じです。広島城天守は昭和20年に原爆によって失われましたが、天守台の石垣は毛利時代の姿のままです。

住所:広島市中区基町21-1
電話:082・221・7512
開館時間:天守:9時〜17時(最終入場は16時30分。閉館時間は時期により変動)
料金:370円
定休日:なし
交通アクセス:JR広島駅より徒歩約25分または広島駅新幹線口側より観光ループバス「めいぷるーぷ」で広島城(護国神社前)下車、徒歩約6分

岡山城(岡山県岡山市)

旭川に面した岡山城天守。昭和20年に戦災で焼失後、昭和41年に鉄筋コンクリート造りで外観復元。写真/西川貴之・アフロ

岡山城を築いた宇喜多秀家は、秀吉から羽柴姓を与えられた一門衆の武将です。岡山城の五重六階の壮大な天守は黒漆塗りの下見板に金箔瓦という、秀吉の大坂城天守に倣った姿をしています。また当時は一気に高い石垣を築けなかったので、岡山城の本丸は三段の石垣に分けて築成されていますが、それも大坂城に倣ったものです。

岡山城の天守は惜しくも昭和20年の空襲で焼失してしまいましたが、外観復元されたその姿は豊臣の城らしい威容を誇っています。

住所:岡山市北区丸の内2-3-1
電話:086・225・2096
開館時間:天守:9時~17時30分(最終入場は17時。イベント等により開園時間が延長になる場合あり)
料金:400円
定休日:12月29日〜12月31日、臨時休館あり
交通アクセス:JR岡山駅より路面電車東山行きで城下下車、徒歩約10分

解説 中井均さん(滋賀県立大学名誉教授)

昭和30年、大阪府生まれ。龍谷大学文学部卒業。専門は日本考古学。米原市教育委員会、長浜城歴史博物館館長、滋賀県立大学教授などを歴任。著書に『信長と家臣団の城』『秀吉と家臣団の城』など。

※この記事は『サライ』本誌2026年2月号より転載しました。

2月号は大特集『謎解き「豊臣秀吉」』

 

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