取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

飲食店経営の両親の影響で、昔から料理をすることが大好きだった

今回お話を伺った、美紀さん(仮名・43歳)は、27歳の時に結婚するも、第二子を出産後すぐに離婚、現在は千葉県で子ども2人との3人暮らしをしています。美紀さんが離婚に至った理由は、義親に忠実な夫、そして何事も命令してくる義母に嫌気がさしたからだと言います。

「出会った頃の夫はとにかく優しくて、私の意見をどれも取り入れてくれていたんですが、それは裏を返せば自分の意見がないということ。結婚する前からあった、義家族への違和感を追求しなかった私も悪いんです……」

美紀さんは千葉県出身で、両親と2歳上に兄のいる4人家族。両親は繁華街から少し離れたところに喫茶店を経営していて、小さい頃からお店を手伝うことが大好きだったそう。

「喫茶店なのでそこまでバタバタしている時間はあまりなくて、私は学校終わりにお店に行って、料理を手伝ったり、お菓子を作ったりと、家にいる時間よりお店にいる時間のほうが長かったですね。うちのお店はコーヒーにこだわっていたので、小さい頃からサイフォン式のおいしい入れ方なども教えてもらっていたから、結構ませた子だったと思います。当時は牛乳を入れないと飲めなかったけど(苦笑)。

お店は年ごとに定休日が違っていたんですが、父親がやる気のある時は年中無休を年始に宣言してしまうこともあって、そうなると家族旅行は無くなります。休みがあっても両親が若い頃は連休なんてなかったから、そこだけは周りの友人と比べてしまって、少し寂しかったですね。今は少し形態を変えて兄が跡を継いでいて、私もそこで働かせてもらっています」

高校、大学と卒業して、都内にあるレストランを経営している企業に就職。美紀さんはレストランのホールスタッフとして働き始め、社会人になって最初の飲み会で、元夫と出会います。

「高校、大学で彼氏はいたんですが、大学中に付き合っていた同い年の彼が留年して、まだ学生であることへの卑屈さがしんどくなって別れました。それまでは飲み会も彼氏がいたので参加したことはなくて、初めて参加した会で、元夫と出会いました。

夫は1歳上で、最初出会った時の印象は何も覚えていません。そこから何度か同じグループで、お店で飲んだり、その中の一人の子の家で飲んだりもしました。そこでこの繰り返されていた飲み会は、私と夫をくっつけるためのものだということを聞かされて。周りにくっつけられたようなものでしたね」

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