牡蠣(かき)の季節、到来。瑞々しい磯の香り、乳白色の旨味、すべらかな舌ざわり──。冬の海の恵みを、今年も存分に味わいたい。

ご飯のおかずにも、酒のつまみにもなる!

スーパーの棚に牡蠣パックが並ぶ季節到来。そこで、今回は、新鮮な素材の組み合わせに定評がある料理家・渡辺康啓さんに、マンネリ脱出の牡蠣料理を教わった。

「牡蠣はそのままで充分においしいので、味付けはできるだけシンプルに。さらに、牡蠣の強い旨味を逃さず楽しむには、水分をどう生かすかがポイントです」

まずは大切なのが下処理。ヒダの奥に汚れがたまりやすいので、下で紹介する“ふりふり下処理法”で雑味を取り除き、澄んだ味わいに仕上げたい。


牡蠣の“ふりふり下処理法”

クリアな味わいに仕上がる

汚れを吸着しつつ、味を損なわない片栗粉を使う。ヒダに汚れがつきやすいので、ひとつずつ振り洗いをするとクリアな味わいに。

1.牡蠣をパックの水ごとボウルに入れ、片栗粉大さじ2を加える。指先一本をボウルの底に付けながらくるくると円を描くと、身崩れせずに汚れが落ちる。

2.灰色の水が出たら捨て、何度か洗い流す。新しい水を注ぎ、牡蠣の外套膜を指で挟みながら、水中でひとつずつふりふり振って汚れを落とす。

3.ザルに上げ、水気を切る。


下ごしらえが整ったら、さっそく一品目。牡蠣入り湯豆腐ならぬ「蒸し牡蠣と豆腐のねぎニラソース」だ。器に豆腐と牡蠣を盛り、水分も調味料も加えずにそのまま蒸すだけという究極の簡単レシピ。だが、牡蠣と豆腐から自然に水分が滲み出て、極上のスープおかずになる。磯の香りと豆腐の甘みが溶け合った滋味豊かな味わいに、思わずため息が漏れる。

そのまま大根おろしとポン酢であっさり食べてもいいが、フェンネルの香りを効かせたねぎニラソースをかければエスニックな一品に変身する。

次に驚かされたのは「生牡蠣のブルスケッタ」だ。トマトとバジルの爽やかなソースを合わせて、カリッと焼いたパンにのせれば、いつもの酢牡蠣が洒落た前菜に変身。キリッと冷やした白ワインもお忘れなく。

さらに、定番のカキフライではなく「牡蠣と里芋の春巻き」、土手鍋ではなくて「牡蠣の味噌汁」と新しい発想の牡蠣料理が登場。“牡蠣の水分=旨味”に着目した新定番で、この冬は、きっと牡蠣パックの消費量が倍増するに違いない。

教える人 渡辺康啓さん(料理家)

イタリアンをベースにシンプルで美しく、繰り返しつくりたくなるレシピを提案。最新刊に『食いしんぼうのセンス』。

蒸し牡蠣と豆腐のねぎニラソース

牡蠣と豆腐から染み出たスープまで絶品!

【材料(2人前)】
牡蠣………6粒
絹豆腐…… 1/2丁
結晶塩……少々

ねぎニラソース
青ねぎ………………… 2本分
ニラ…………………… 1/2把(刻んだ青ねぎと同量)
鷹の爪………………… 1本
フェンネルシード……… 小さじ1/2
菜種油……………… 20cc
醤油………………… 小さじ2
塩…………………… ひとつまみ

【つくりかた】
1.青ねぎとニラを細かく刻み、鷹の爪は1cm幅の輪切りにする。ボウルに入れて、フェンネルシードを加える。
2.菜種油を小鍋で煙が立つほどに熱し、1.に回しかける。全体を混ぜ、醤油と塩を加えて味を調える。
3.豆腐をスプーンで大きめにすくって器に盛り、上に牡蠣をのせる。湯気の上がった蒸籠に入れ、中火で10分蒸す。
4.仕上げにねぎニラソースをたっぷりかけ、結晶塩をふる。

生牡蠣のブルスケッタ

イタリア風に楽しむ、新感覚な前菜

牡蠣とトマトの旨味エキスをパンがじゅわっと吸い込む。バルサミコ酢の甘みがよいアクセント。

【材料(2人前)】
牡蠣(生食用) ………………………… 6粒
トマト ………………………………… 中1個
バジル ………………………………… 少々
赤玉ねぎ ………………………………1/6個
ワインビネガー………………………… 小さじ1
エクストラバージンオリーブオイル……… 小さじ1
バルサミコ酢 ………………………… 少々
塩……………………………………… 少々
パン …………………………………… 2枚

【つくりかた】
1.パンは香ばしくカリッと焼く。
2.トマトは角切りにし、バジルと赤玉ねぎはみじん切りにしてボウルに入れる。
3.ワインビネガー、オリーブオイル、塩を加えて軽く混ぜる。
4.焼いたパンの上に牡蠣をのせ、バルサミコ酢を垂らし、3.をたっぷりのせる。

トマトはざく切りで構わないが、赤玉ねぎとバジルはなるべく細かくみじん切りにすると、軽やかな食感に。ウニにかけても美味。

牡蠣の味噌汁

焼き味噌で香ばしく仕上げる土手鍋風

牡蠣の旨味が溶け出し、手軽にご馳走級の味噌汁が完成。柚子皮を添えて、洗練された味わいに。

【材料(2人前)】
牡蠣………4粒
油揚げ ……少々
味噌………大さじ2
出汁………400cc
柚子の皮 …適宜
七味………適宜

【つくりかた】
1.鍋に味噌を入れて弱火にかける。焦げないように木べらで練るように炒る。香ばしい香りが立ったらOK。油揚げを短冊切りにする。
2.出汁を注ぎ、沸いてきたら牡蠣と油揚げを入れ、1〜2分ほど煮る。煮過ぎないのがコツ。
3.味を見て、薄ければ味噌を少し足して調える。器に盛り、柚子の皮を添え、好みで七味唐辛子をふる。

味噌を炒るひと手間で、香ばしさがアップ。水分が抜け、鍋肌にペタペタと張り付くようになったら、出汁を注ぎ入れるタイミング。

牡蠣と里芋の春巻き

牡蠣と里芋の意外な好相性に驚く

パリッと香ばしい皮、もちっとした里芋の食感。続いて、牡蠣と海苔のダブルの磯の香りが弾ける。

【材料(2〜3人前)】
牡蠣(できれば生食用)… …………… 10粒
里芋…………………………………… 4〜5個(300g)
細ねぎ…………………………………… 5本
海苔(15cm角)………………………… 10枚
春巻きの皮……………………………… 10枚
揚げ油…………………………………… 適量
胡麻油………………………………… 小さじ2/3
片栗粉、韓国唐辛子、塩、結晶塩…各適宜

【つくりかた】
1.里芋は皮を剥いて洗い、ひと口大に切る。鍋に入れてたっぷりの水と塩ひとつまみを加え、弱火で煮る。串がすっと通ったらザルに上げ、流水でぬめりを洗い流し、水気をよく切る。ボウルに入れ、フォークなどで潰して胡麻油と塩ひとつまみを加えて混ぜる。
2.牡蠣はキッチンペーパーなどでやさしく水気を拭き取る。細ねぎは1cm長さに切る。
3.春巻きの皮を広げ、手前に海苔をのせる。里芋ペーストを塗り、牡蠣と細ねぎをのせて塩をひとつまみふる。端から巻いて、水溶き片栗粉でとめる。
4.油を160℃に熱し、春巻きを入れてじっくり5〜6分ほど、狐色になるまで揚げる。
5.器に盛り付け、仕上げに韓国唐辛子、結晶塩をふりかける。

牡蠣から出る水分を里芋に吸わせ、さらに皮が破けないように海苔で補強。小粒の牡蠣なら2個入れても。牡蠣の揚げ物は火が通りにくいので、生食用が安心。

取材・文/渡辺菜々緒 撮影/木村 拓

サライ1月号大特集は『サライの(新)漫画論』
特別付録『ノリタケ製 2026ドラえもん ミニ・イヤープレート』

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2026年
2月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

市毛良枝『百歳の景色見たいと母は言い』

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店