眼科医・山口康三さんは、目の病気の多くは生活習慣病であり、目を健康にするカギは「血流をよくする」ことにあると言います。そのため、通常の眼科治療とともに、食事や運動、ストレスケアをはじめとする生活習慣を改善することで、より大きな効果を得ることができるのだそうです。

山口さんの著書『緑内障・白内障は血流の改善でよくなる』(徳間書店)の中から、「目の健康」を維持するためのポイントを紹介。今回は、過食による目への弊害と少食ライフに改善するためのコツを取り上げます。

目の生活習慣病の3大原因

目の血流を悪くする生活習慣のなかで、特に弊害が大きいのは、次の3つです。

・過食(食べすぎ)
・運動不足
・腸内環境の乱れ

「食べすぎ」がもたらす害

食べすぎると代謝しきれなかった糖分や脂質(中性脂肪やコレステロール)、たんぱく質が血液中に増えるため、血液はドロドロになります。目の血管は細い毛細血管が集中しており、ドロドロ血液では目の血流が悪くなります。
また、食べすぎたり間食や夜食が多かったりすると、胃腸は消化吸収に追われます。胃腸に大量の血液が集中することで、脳や手足の血流が低下します。脳と直結している目にも、血流障害が起こるのです。
そのほか、食べすぎは自己治癒力の低下や、組織に炎症を起こす「糖化」、組織を破壊する「酸化」などをもたらします。

少食は目の病気を治す最良の薬

生活改善でいちばん大切なことは、食事の見直しです。なかでも、最初に行っていただきたいのが、「過食(食べすぎ)」をやめ、「少食」にすることです。
目の病気の要因である血流障害は、過食が原因です。ゆえに、少食にして血液循環をよくすることが治療の基本となります。
目は多くの栄養と酸素を必要とする器官であり、細い毛細血管をスムーズに血液が流れることで「見る機能」が維持されています。
少食にすると、胃腸への負担が減り血液を胃腸に集中させなくてよくなるので、血液が全身を巡りやすくなります。腸内環境も良好になり、便秘・宿便を防ぐことができます。
こうして血液と血管がきれいに保たれることで、目の病気の予防や改善、視力の回復が可能になるのです。

少食ライフ3つのステップ

【ステップ1】間食・夜食をやめよう

まず、間食や夜食をやめることからはじめます。
ふだんあまり意識していないかもしれませんが、間食の習慣がある人は、午前10時頃や午後3時頃、何かしら口にしています。なかには、夕飯は食べたのに夜遅く「小腹が減った」と夜食をとる人もいます。まずはこうした間食や夜食をやめましょう。
今まで間食の習慣があった人は、いきなり全部やめるのは難しいでしょうから、まず食べる量や回数を徐々に減らしていきましょう。
間食をやめると、口寂しいという人がいるかもしれませんが、体が変化に慣れるには、1週間から10日はかかります。
少しだけ努力して慣れるのを待ちましょう。しだいに体調がよくなり、空腹もあまり感じなくなってきます。この慣らし期間中に体が軽くなったり、体重が減ったり、むくみが取れたりして、体調が改善する方もいます。
どうしても「我慢できない、食べたい」という欲求がこみ上げてきたら、水か炭酸水を飲んでください。
もともと間食・夜食をとっていない人は、次のステップ2からはじめてください。

【ステップ2】 腹八分目にしよう

間食や夜食をやめることができたら(または減ってきたら)、次は食事を腹八分目にしましょう。
腹八分目とは、おなかいっぱい食べたときの満足感を10とすれば、「もう少し食べられそう」「ちょっと物足りない」という感覚です。食べたあとでも、走ろうと思えば走れそうなくらいの感覚です。
腹八分目を実行するのは、そんなに難しいことではありません。自宅での食事なら、器に盛る量を最初から「八分目」程度にするとか、外食は、注文時にあらかじめ量を少なめにしてもらうよう伝えておくとかすればよいのです。
腹八分目を続けると、それまでよりも確実に体調はよくなります。病気を治す体内環境が整ってくるので、目の状態も改善されます。

【ステップ3】 朝食を抜き、1日2食にしよう

腹八分目に慣れたら、次は朝食を抜いてみましょう。朝食を抜く目的は2つです。
1つは、食事量の総量を減らすということです。これまである程度ボリュームのある朝食をとっていた人の場合、朝食を抜くことでさらに少食にすることができます。
2つめは、プチ断食ができるということです。朝食を抜くと、前日の夕食後から睡眠をへて、翌日の昼食まで何も食べないことになります。これにより、胃腸が空になる時間が長くなり、消化活動にかかわる胃腸の負担を大幅に減らし、内臓を休ませることができます。
これは、毎日、プチ断食をするのと同じことになり、先に述べた体の修復にかかわるオートファジーやSir2遺伝子を活性化したり、ホルモンの分泌を促進したりすることができます。
朝食については、多くの専門家の間で、「必要」「不要」と意見が分かれるところです。私の長年の臨床経験からいうと、朝食を抜いた患者さんは、明らかに目の病気も、全身の不調も改善に向かいやすいことを確認しています。したがって私自身は、患者さんには朝食抜きの1日2食をお勧めしています。
しかし、人の体と心は100人いれば100通り違います。朝食を抜くのは無理と感じる人がいても、不思議はありません。
どちらがいいかは、まずはご自身でやって体感してみてください。頭で考えるより、体感することが重要です。どちらがいいかは、自分の体が教えてくれます。自分の体を信じて、調子のいいほうを実践してください。
朝食を抜くことで1日のリズムが変わり、調子が出ない、元気が出ないと感じることもあるでしょう。しかし、これも1週間もすればだんだん慣れてきて、体の違和感もなくなります。自分の体の声を聞いて、無理のない範囲で少食を実践できればいいので、朝食抜きができない場合は、腹八分目で少食を続けてみてください。

*  *  *

 

緑内障・白内障は血流の改善でよくなる 黄斑変性・糖尿病網膜症・ドライアイにも効果
著/山口康三
徳間書店 1,760円(税込)

山口康三(やまぐち・こうぞう)
1981年、自治医科大学医学部卒業。横浜市立市民病院、神奈川県立厚木病院、神奈川県立藤野診療所勤務を経て、91年に栃木県下野市に回生眼科を開業。日本眼科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本綜合医学会副会長。食事や運動、睡眠などで綜合的に対処する「目の綜合医学」を考案・確立。著書に『緑内障・白内障は朝食抜きでよくなる』(マキノ出版)、『[山口式] 自力で白内障・緑内障・黄斑変性を治す本』(主婦の友社)などがある。

 

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