写真はイメージです

40代後半から50代半ばの女性が、「新しいことに挑戦」する様子を目にすることが多い。離婚や結婚、移住や家の購入、転職や独立、最近は留学やリスキリング(学び直し)もそこに加わる。しかし一方で、心身の“ゆらぎ”に悩む世代でもある。更年期による心や体の乱れ、育児や介護やお金の不安、家族のために献身しても“当たり前”と思われる虚しさ。世間からの疎外感を覚える人もいるだろう。“ゆらぎ世代”の女性が感じている“現実”を、25年間に1万人近くのインタビューを行ったライター・沢木文が紹介する。

2025年5月8日、静岡県で詐欺事件の被害届が出された。静岡市清水区に住む30代の男性が、マッチングアプリで知り合った女性から投資の相談を受け、4月中旬から5月上旬までに指定された口座に現金を振り込み、計約1200万円をだまし取られたからだ。

不特定多数と出会えるマッチングアプリにまつわる事件は多いが、伴侶と出会うという幸せを手にしている人もいる。

女として“終わり”を感じたのは制服が似合わなくなった43歳

東京23区内に住み、証券会社に勤務する洋子さん(58歳)は、「1年前、マッチングアプリで彼ができました。女として終わっていると思っていた私に相手が見つかるとは思わなかった」と言う。

「“女として終わった”と意識したのは、43歳のとき。ウチの会社には女性社員だけ制服があったのですが、不意に鏡を見たときに、全く似合っていない。不気味なくらい、顔と服がちぐはぐ。パステルカラーのベストにチェックのミニスカートという制服は、若い女性が着ることを想定してデザインしている。40代が着るものではないんです」

当時、高校生だった娘(現在32歳)にそのことを話すと、「ママの服もメイクも、ずっと痛いって、言ってあげてたじゃん」と言った。

「すごい美容も頑張って、白髪を染めて、セミロングのソバージュにして、コンシラーでシミなどを隠していたのですが、それを娘は“厚塗りオバケ”と表現。さらに、おばさんはダイエットするよりもふっくらしていたほうが可愛く見えると言うのです」

娘の言うままに、ショートボブにして、モノトーンの服を買った。デパートのコスメカウンターで“薄づき”のファンデーションを選んだ。娘から、「ママは普通の人なんだから、美魔女を目指してはダメ」と言われた。

「自分としては物足りなかったのですが、会社の若い子からめちゃくちゃ褒められたんです。どれだけ前が“ブリっ子”すぎたのかと。営業成績も上がって、容姿の力は大きいと感じましたが、それが自信になるというより、“老い”を受け入れることだと、あきらめの気持ちにつながっていったのです」

その直後、制服が廃止された。もともと制服着用は任意で、会社としては私服を奨励していたが、女性社員側が「服代がかかるし、コーディネートを考えるのが面倒だ」と制服を着続けていたのだという。

「役員自ら“ダイバーシティだ”と言われると、旧時代の産物を着続けている私が悪いみたいになる。制服は総務にサイズを申請するので、私は9号を着続けようと普通体型を維持していたのですが、その必要もなくなった。そして、太り続けていったんです」

30歳のときに離婚した洋子さんは、娘が成人したら自分も本格的に恋愛しようと思っていた。そのことも体型を維持している理由だった。しかし、10キロ増えたことで、気持ち的に恋愛が遠くなった。

【白髪があると、恋もできない……次のページに続きます】

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