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40代後半から50代半ばの女性は、心身の“ゆらぎ”に悩む世代とも言われている。更年期による心や体の乱れ、育児や介護やお金、そしてキャリアの不安もあるだろう。この “ゆらぎ世代”の女性が感じている“現実”を、25年間に1万人近くのインタビューを行ったライター・沢木文が紹介する。

今、1972年に連載がスタートしたマンガ『ベルサイユのばら』(池田理代子)がブームだ。きっかけは、2025年1月に映画版が公開されたこと。フランス革命を舞台にした不朽の名作は、多くの人を魅了。4月に東京と大阪で行われた応援上映は瞬時に完売。4月30日からNetflixでの配信も始まるという。

東京都内の中堅企業に新卒から勤務する典子さん(53歳)は、「仕事に邁進し、恋愛のチャンスを避けてしまった。経験がないまま終わる可能性に揺らいでいる」と言う。

【これまでの経緯は前編で】

43歳でマッチングアプリに挑戦

典子さんの最初の“ゆらぎの扉”は、38歳のときに開いた、子供を産む可能性をどうするかという揺らぎだった。ただ、独身であり恋愛経験もない。海外の精子バンクから提供を受けることも可能だが、一人で育てることは困難であり現実的ではないという結論に至る。

「43歳の誕生日のときに、上京してきた高校の同級生5人がお祝いしてくれたんです。そのうちの一人が、30代前半に見えるほど、若々しく可愛くなっていたんです。理由を聞くと、マッチングアプリで出会った27歳の大学院生と付き合っていると。当時、40代になったら恋愛は終わりだと思い込んでいたので、そんなことがあるんだと驚いたのです」

同席していた同級生の男性が、「俺ちょっと、お前のこと全力でデートに誘いたいわ〜」とその女性の手を取った。

「私はいつも会社でやるように、“ブブー、セクハラです”と注意をしようとしたら、彼女は彼の手を取って、“うれしいわ。いつにする?”と言ったんです。それに、彼はドキッとしていることもわかった。それから際どい下ネタの応酬になるのですが、それがとてもオシャレな会話として成立していたんですよ。乗り遅れた敗北感と、女性として恋愛市場に立つ同世代への憧れみたいなものがドーンと襲ってきたんです」

その女性と典子さんは仲がいい。女性が30代前半で離婚するとき、一時的に同居していたこともある。

「地元の上京組はエリート意識が高く、連帯感があって、お互いがなんでも話し合えるような雰囲気なんです。彼女に飲み会が終わった後、マッチングアプリのやり方を教えてもらいました。そしたら、メイクや服を変えないとダメだと。そういうことも手伝ってくれて、晴れて登録できました」

始めるときも、気持ちは揺らいだ。典子さんは、恋愛は恥ずかしいことだという思い込みが強い。

「登録ボタンを押すこと、相手にいいねをつけることなど、なんとなく自分が堕落しているような感じになりました。最初にマッチした男性と会ったのですが、相手は45歳と同世代で、私は43歳。彼は明らかに私の容姿にがっかりしており、左手の薬指には指輪の跡もある。私がそれに気づいたことを分かりながらも、手を繋ごうとするんです。私は、お互いに尊敬しあって、愛がある温かい恋愛がしたい。アプリでは無理だと察し、1日でやめました」

【いいと思う男性は、結婚している……次のページに続きます】

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