
日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。
解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

牧田式ミラクルフード:大豆食品
日本人は、豆腐や納豆、味噌など大豆食品を多く摂る国民です。私自身、よく食べるし、豆乳も愛飲しています。
大豆食品は優れた植物性タンパク質であり、コレステロール値を下げることもわかっているので、年齢や性別を問わず大いに食べてもらいたい食材です。
なかでも、更年期を迎えた女性におすすめです。大豆食品に多く含まれる成分のイソフラボンは、倦怠感や不安感、イライラ、抑うつなど、女性の更年期障害の症状を和らげると指摘されるからです。ちなみに、更年期障害は女性に限ったことではなく、男性にもあることがわかり、こちらは「LOH症候群」という名前もついています。
女性は女性ホルモン「エストロゲン」が、男性は男性ホルモン「テストステロン」が、それぞれ加齢と共に低下するのが更年期障害の主な原因です。
原因となるホルモンの種類に違いがあることから、イソフラボンの効き目は一般的に女性のほうが大きいのです。
また、国立がん研究センターの調査で、大豆食品には乳がんの予防効果があることも明らかになっています。
もともと乳がんは欧米に多く、アジアでは少ないことで知られています。
しかし、アジアからアメリカに移住した集団では、乳がんが増えることがわかっています。さらに日本でも、都会で暮らす女性のほうが乳がん死亡率が高い傾向にあります。
これらのことから、生活習慣とくに食習慣が、乳がんの発症と大きな関係があるのではないかと言われてきました。
そのリスクを軽減する要素の一つが、大豆食品やそこに含まれるイソフラボンと考えていいでしょう。
プロテインは摂らないほうがいい
とはいえ、大豆食品の摂りすぎには注意し、バランスのいい摂取を心掛ける必要もあります。たとえば、味噌には塩分が多く含まれているので、高血圧の心配が生じます。味噌は発酵食品でもあることから積極的に摂る人がいます。
ですが、朝の味噌汁1杯くらいがいいでしょう。
なかでも注意してほしいのが、プロテイン製品です。粉末や液体で売られているプロテイン製品には、牛乳由来の「ホエイプロテイン」と、大豆由来の「ソイプロテイン」があります。
スポーツクラブのインストラクターから、筋肉増強や疲労回復にプロテインをすすめられた人も多いでしょう。とくに、女性はイソフラボン効果を期待してソイプロテインを好む傾向にあります。
しかし、ホエイプロテインだろうとソイプロテインだろうと、摂らないほうがいいのです。理由は腎臓を疲れさせるからです。
腎臓の疲れは全身の疲れを呼び、あらゆる病気を引き寄せます。
こうした不自然なものに頼らず、日頃から、納豆や豆腐などを美味しく食べれば充分でしょう。
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世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』
現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)











