鎌倉時代から約800年続く川連漆器
鎌倉時代から約800年続く川連漆器は、すべての工程が半径約2km以内の小さな町で完結する。
「漆器産地の川連町では、木地師、塗師、沈金師、蒔絵師が同じ町で暮らし、ひとつずつ丁寧に仕上げています」と、秋田県漆器工業協同組合理事長の佐藤 公さん。
椀に用いる木地の木材は奥羽山脈の原木で、主にブナやトチ。まず原木をブロック状に切り、大まかに椀の形に加工した後、3か月間ほど燻しながら乾燥させる。これが「燻椀」と呼ばれる所以である。燻すことで木の水分が抜けて木質が強くなり、防腐や防虫効果ももたらされるのだ。
漆塗りは下地、下塗り、中塗り、上塗りと重ねる。上塗りは、漆を塗ったまま研がずに乾かす川連漆器独特の手法「花塗り」だ。
「漆がぷっくりと厚いのは、花塗り仕上げだからです。刷毛でたっぷりと漆を塗ったら、垂れないように漆の流れを確認しながら何度も椀をひっくり返し、8時間かけて乾かします。すると、徐々に刷毛目のない平滑な表面になっていくのです」と、佐藤さん。
東福寺椀は、川連の古書に名が残る高台が高いご当地椀。大きめの作りで、具だくさんの味噌汁を盛る汁椀、飯椀に最適だ。正月の雑煮椀に用いれば食卓が華やぐ。
昔ながらの堅実な手法で作られた姿のよい椀。毎日使うほどに愛着の湧く、ぬくもりある器である。
【今日の逸品】
川連漆器の燻椀・東福寺椀
秋田県漆器工業協同組合
8,580円~(消費税込み)