狭井(さい)神社の御神水と卓越した技が生む端整な創作料理

萩王(明日香)

昼の4950円のコースから。手前左から翡翠煮 、玉子焼き、百年豆腐、鯛寿司、赤貝。左奥は岩手の銘柄豚・岩中豚の角煮 、ハーブで爽やかに仕上げている。右奥は白味噌椀。

大阪の名店で修業をした店主、増田吉昭さん(67歳)が腕を振るう『萩王』。神聖な空気が流れる明日香村で店を開きたいと思っていたところ、この豪壮な屋敷に出会ったという。趣ある食事処に改修し24年、日本料理の型にはまらない創作料理が堪能できる。

前菜から始まる料理は、ふっくらと炊いたうすいえんどうの翡翠煮や自家製の味噌床で漬けた“百年豆腐”など手をかけたものばかり。丁寧に擂(こす)った胡麻豆腐の白味噌仕立ての椀物は、濃厚な胡麻の香りと味わいがすっと体に馴染む。

「料理には桜井市の大神神社の摂社・狭井神社の御神水を汲んで使っています。昔から薬水と称された甘くやわらかい水です。自家菜園のハーブもよく使います。日本料理に加えることで微妙な味の変化が生まれます」(増田さん)

デザートはパティシエの娘さんの手による抹茶ババロアに和三盆ゼリーと黒豆がのった「福みどり」。カフェで人気の品だ。

和歌山県出身の増田吉昭さん。吉野葛と蓮根の粉末を練り込んだ蓮根麺(コース料理で提供)を考案。

萩王

風格ある座敷をテーブル席にしている。

高市郡明日香村飛鳥180
電話:0744・54・3688
営業時間:11時30分~14時、14時~16時 カフェ17時~20時30分
定休日:不定 
予算:昼4950円、夜1万3200円~ 20席。要予約。

近鉄橿原線橿原神宮前駅から車で約6分。橿原神宮前駅へは近鉄奈良駅から約35分。

撮影/大腰和則

※この記事は『サライ』2022年6月号より転載しました。

 

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